西武HDPhoto:Diamond

西武ホールディングス(HD)は4月1日付で西山隆一郎取締役常務執行役員を社長に昇格させる。後藤高志社長は会長兼CEO(最高経営責任者)に就く。社長交代は18年ぶり。2023年3月期の連結最終利益が大幅増となるタイミングでバトンを渡す格好となり、後藤路線は継続する。新型コロナウイルス禍で衰えた「稼ぐ力」の完全復活が新体制の至上命題となるが、主要事業を分析していくと総崩れに陥りかねないリスクが浮かび上がる。(ダイヤモンド編集部 梅野 悠)

18年ぶりの社長交代
今期決算は黒字見込み

「新体制に移行する理由は、グループ全体の若返りと専門性の強化だ」

 西武ホールディングス(HD)が2月14日に東京都内で開いた社長交代会見。後藤高志社長は交代の理由をそう語った。後任社長には西山隆一郎取締役常務執行役員が昇格し、後藤氏は会長兼CEOに就く。トップ交代は18年ぶりだ。

 有価証券報告書の虚偽記載で西武鉄道は04年末に上場廃止となった。同社の経営を再建するために、翌05年に主力銀行のみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)から送り込まれたのが、当時副頭取だった後藤氏だ。

 後藤氏は社長就任後、不採算事業からの撤退やホテル・レジャー施設の売却などリストラを推進。14年の再上場時には、グループ再建を資金面でサポートした米投資ファンド、サーベラスと激しく対立したこともあったが、その後業績は順調に推移。16年3月期には最高益を記録した。

 だが、新型コロナ禍が強烈な向かい風となった。レジャー需要などが消失し、21年3月期の連結最終損益は723億円の赤字に転落した。

 財務基盤の立て直しに踏み切ったのが、資産売却だ。保有する「ザ・プリンス パークタワー東京」など31施設をシンガポール政府系の投資ファンドであるGICに売却。23年3月期の連結純利益は790億円となる見込みだが、これは資産売却益の寄与によるものが大きい。

 今回、18年ぶりに社長が交代するが、後藤路線が大きく変わることはなさそうだ。後任の西山氏は後藤氏と同じく第一勧業銀行(現みずほ銀行)出身で、後藤氏は周囲に西山氏を「右腕」と形容してきた。後藤氏は会長となるものの、新設されるCEO職に就き、グループ全体の経営を指揮することになる。

 後藤・西山体制に求められているのが、新型コロナウイルス禍で衰えた「稼ぐ力」の復活である。だが、新型コロナのダメージは主要事業に影を落としている。次ページでは、新体制で船出する西武HDの主要事業の分析で明らかになる“総崩れ”リスクについて解説する。