子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
子育てにおいては「結果主義」ではなく「努力主義」
子どもが環境の変化を嫌がるのは「失敗を恐れるから」です。
特にティーンエイジャーは自意識が強く、プライドが高いので、挑戦にともなう失敗のリスクを過剰に気にするようになるのです。
子どもが失敗を恐れるのは自然なことです。しかし、失敗を恐れて挑戦しないと、そこで成長が止まってしまいます。
大切なのは親が「結果に寛容」であること。結果よりも「努力することに意義がある」という態度を保ちましょう。
失敗してもいいからチャレンジを続ける、居心地の良い場所から外に出る。そんな態度を身につけた子どもは目標に向かって一直線に歩んでいけるようになります。
これに関連して、スタンフォード大学教授、キャロル・ドゥエック博士はティーンエイジャー数百人を集めて簡単な知能テストをやらせました。
そして、テスト後に生徒を半分に分けて、それぞれのグループに異なる褒め言葉をかけます。
その褒め言葉によって、生徒たちの行動がどう変わるかという実験です。
半分の生徒には「知性」を褒める言葉をかけました。「大変よくできました。あなたは頭がいいのね」。
残りの生徒には「努力」を褒める言葉をかけました。「大変よくできました。あなたは一生懸命がんばったのね」。
次に同じ生徒に、先にやった知能テストよりも難しいテストと簡単なテストの2種類を与え、どちらか好きなほうを選ばせました。
すると「頭がいいのね!」と「知性」を褒められた生徒のほとんどが簡単なテストを選び、一方「がんばったのね!」と「努力」を褒められた生徒の90%は、難しいテストを選択したのです。
「知性」を褒められた生徒は「自分を賢く見せること」を優先するので、失敗を恐れるようになります。
その一方で「努力」を褒められた生徒は「チャレンジし続けること」を優先するので、勇気を持って挑戦できるようになるのです。
親は「結果よりも努力を認める」という姿勢を決して忘れないでください。