子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

「身内への悪口を聞いた子ども」は人をバカにする

「パパみたいになっちゃダメ」
「うちの旦那は稼ぎが悪くて」
「ママはバカだな」
「お母さんは何も知らないな」
「お前のしつけが悪いんだ」
「あなたが甘やかすからいけないのよ」
「子どもがダメなのはお前の遺伝だ!」

 日本の家庭ではこのようなパートナーへの悪口がよく見られます。

 大人同士ならまだしも、子どもがいる前でこのような言動を取る人もいますが、子育てには極めて悪い習慣です。

 身内の悪口を聞かされて育った子どもは周囲の人をバカにするようになります。

 たとえばクラスメートに対して「そんな簡単な問題がわからないの?」という言葉を平気で使うようになるのです。

 このような子どもは学校で友だちができにくく、仲間はずれにされやすい、いじめの対象にされやすい、といった傾向があります。

 身内への悪口は世界ではほとんど見ることのない日本の悪しき習慣です。

 欧米社会では身内の悪口は御法度であり、身内を悪く言う人は、ひるがえれば自分の恥や価値観の狭さを世間にさらしているようなものなのです。

 心当たりのある方はパートナーに対する悪口は即刻封印してください。子どもの人格形成にゆがみをつくることはもちろん、夫婦間に亀裂を生みます。

 悪口が出そうになったらゆっくりと5回深呼吸しましょう。それで心を落ち着けることができます。

「必要以上の謙遜」は自信喪失の原因に

 悪口のつもりではなくとも、多くの日本人がやりがちなのが必要以上の「謙遜」です。

 たとえば「お宅のお子さんは本当に頭が良いですよね」と我が子を褒められた時に「いいえそんなことありません。うちの子はぜんぜんダメで~……」などと答えてしまいます。

 これを横で聞いている子どもはどう感じるでしょうか。「ボクはぜんぜんダメなんだ」と思い込んでしまうのです。

「うちの子は親に似てバカでのろまで」などと、親は謙遜のつもりでも子どもはその言葉を素直に受け止めます。

 親の心ない言葉で子どもの自信が揺らいでしまう事例は非常によく見られます。

 自分のことを謙遜するのは大いに結構ですが、パートナーのこと、子どものこと、身内のことを必要以上に低く扱うのはやめましょう。

 もしも子どもの性格、外見、才能、能力を褒められることがあったら「そうなんです。うちの子はできが良くて親のほうがびっくりしています。トンビがタカを生みました!」と100%肯定しましょう。

 特に幼い子どもに使う言葉は慎重に選んでください。親の何げない一言が子どもの一生のコンプレックスになることもあるのです。

 あのトーマス・エジソンの母親は、学校に馴染めなかったエジソンに「トーマス、お前は天才だよ。トーマスは賢いよ」と言い聞かせ育てた話は有名です。

 子どもの短所を保護し、長所を発見して、良い言葉、良い暗示をかけると子どもは能力を発揮するように育つのです。