幾度となく赤ワインブームが訪れ
国内市場が成熟
こうした流れが、後の寿屋(現サントリー)の甘味果実酒「赤玉ポートワイン」の大流行の下地となる。また甲斐産商店は、1934(昭和9)年に大黒葡萄酒株式会社に改組され、今日のメルシャン株式会社へと発展していくこととなる。
ワインの国内市場における最大の転換点は、1975年度に課税移出数量ベースで、「赤玉ポートワイン」に代表される甘味果実酒を、果実酒(ワイン)が追い抜いたということであった。
その後、輸入ワインも広く普及して、1994年の第5次ワインブームや1997~98年の第6次ワインブーム(赤ワインブーム)を牽引して、国内製造ワインを凌駕するようになった(図表2)。これには、1989年の酒税法改正における従価税の廃止と従量税化が、輸入ワインの価格低減をもたらしたことの影響が大きかった。

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興味深いのは、図表は示さないが、酒類全体の出荷量は1999年度をピークに減少の一途をたどっているのに対して、ワインは2000年代に微減した後に増加していることである。しかも、2010年以降、国内製造ワインも増加傾向にあるのだ。
このように、多くの人々が味わうようになったワインの製造工程は図表1に示される。左が白ワインで右が赤ワインである。

ブドウの実は、果肉、種、果皮、果梗(果実を支える柄)から成る。図の上の除梗とは、果梗を取り除く作業である。破砕とは、果皮を軽く破ることを意味する。
白ワインは、この後、ただちに圧搾して果汁を搾り出し、それに酵母を加えて発酵させる。終了後は、タンクや樽に0~6カ月ほど貯蔵し濾過して瓶詰めにする。