上野千鶴子ファンの中心は、高学歴でバリバリ働く女性たち
中国に住む筆者の女性の友人にも、上野さんのファンは多い。彼女たちはいずれも高学歴で、都会でバリバリ働いているが、独身者が多い。彼女たちは「自分たちがどんなに高い給料をもらって、自立していても、結婚や家庭の話になると急に肩身が狭くなってしまう」という。経済が急速に発展してきた中国社会は、日本よりはるかに女性が活躍しやすい職場環境がある一方、プライベートでは伝統的な固定観念に直面させられることが多いからだ。中国では、30歳を超えて未婚であれば、「剰女」(余る女)と呼ばれる。親や周りからしつこく「いつ結婚するの?」と「催婚(結婚を促す)」される。例え結婚しても子供がいなければ、今度は「子供はいつ?」としつこく聞かれる。
だからこそ、上野さんの「私はフェミニズムが男との平等を求める思想である以上に、自由を求める思想だと思っています。平等より、私は自由が欲しかった」「性的な身体の自由はとりわけ重要なものだと思っています」「自由であれば、どんな生き方でもよい」などの主張や考え方が、中国の女性たちの心に刺さり、深く共感されているのだ。筆者の友人たちも「抱えている不安やストレスが、彼女の言葉でやわらいだ」と話す。
最近、日本で話題になっている「上野さんが実は『入籍』していた」という週刊誌記事の内容は中国にも伝えられているが、まったく問題視されていないようだ。筆者の友人も「それこそ個人の自由だと思います。(仮にそうだとしても、その事実が)私の心の中の上野先生を傷つけることはまったくありません」と話していた。