花粉症が多いのはどの都道府県?
「沖縄と北海道に花粉症はない」は本当か
(3)戦後、日本人はスギを積極的に植えた
私は花粉症ですが、実家は林業をやっていて、中学生の頃、よく父親と一緒に山にスギを植えて回りました。自分で植えたスギが育って30代になってから花粉症を発症したという意味では、まさにマッチポンプな体験です。
さて、花粉症の皆さんには申し訳ないのですが、スギを植えたのはわが家だけの話ではなく国策がそもそもの原因です。終戦直後、荒廃した国土を復興させるために木材の需要を増やすことが必要でした。スギはヒノキなどと違い育つスピードが速いということから、国はスギの植林を奨励したのです。
今、国は「花粉を飛ばしにくいように品種改良したスギ」に植え替える政策を進めようとしています。それは国民にとって喜ばしいことなのですが、いくら育つスピードが速いといってもスギが商品になるには50年かかります。スギ花粉が少ない世界で過ごすことができるのは、2070年代以降の世代になりそうです。
(4)スギ花粉症は山梨県から関東にかけて多い
ウェザーニュースの調査によれば、スギ花粉症になる人の割合が一番多い都道府県は山梨県だそうです。そして群馬、埼玉、東京、神奈川、静岡といった具合に山梨県に近接する都道府県も、それ以外の地域と比べると花粉症比率が多い傾向があります。
これはスギの木が多いかどうかに加えて、風で花粉が飛ぶ方角が関係しているわけです。ウェザーニュース社ではポールンロボという花粉観測機を全国に設置しているのですが、その観測によれば、花粉の飛散数が多い地域と花粉症の自覚がある人の多いエリアは一致しているといいます。
ちなみに関西では奈良県が発症率全国6位と上位に来ていますが、奈良県も吉野杉の産地として有名ですね。
(5)沖縄と北海道には花粉症はない?
花粉症の季節になると、その時期だけ移住しようという方がいらっしゃいます。ある人によればおススメは沖縄と北海道で、その理由はスギが生えていないからだといいます。確かに、先ほどお話しした都道府県別発症率を見ると青森県が全国45位、鹿児島県が全国44位ですから、極端に南か北に向かえばスギ花粉から逃がれることができそうですね。
しかし、油断してはいけません。
北海道では春先はシラカバの花粉症患者数が増えているそうです。沖縄ではこの季節、リュウキュウマツの花粉の飛来でアレルギーになる患者さんがいらっしゃるそうですよ。私も調べてもらったところ、スギ花粉だけでなくヒノキ花粉とハウスダストでアレルギーがあるようです。結局のところ、悪者はスギだけではないのですね。