Web3ビジネスの
問題点

 Web3には可能性もありますが、業界そのものが未成熟、かつ暗号資産というお金を扱うこともあって、詐欺まがいの行為が横行しています。これには理由があって、Web3はこれまでのテクノロジーの進歩と大きく異なる点があるからです。

 その「大きく違うもの」とはお金、暗号資産の存在です。暗号資産は、他のイノベーションと異なり、「通貨のイノベーション」であるため、従来のイノベーションとはお金の集まり方も異なっています。

 インターネットやスマートフォンなど、新しい技術が世の中に出てきた当初は、当然ながら市場規模も小さいため、お金にならないのです。そのため、集まってくる人たちは、新しい物好きのエンジニアばかりで、そんな人たちが、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返しているうちに、徐々に世の中に価値を提供するアプリケーションが現れ、その価値が世の中に認められてはじめて、ようやくお金が業界に流れ込み始めるのです。

 しかし、Web3の場合は、今までとは状況が全く違います。その基盤となるブロックチェーンというテクノロジーや、暗号資産が、これまで非常に難しかった「プログラミングでお金を操作する」ことを、ものすごく容易にしてしまったのです。

 そのため、従来型のイノベーションと異なり、最初から金融系の人々がたくさん参入してきています。

 De-FiやGame-Fiの背後には、ヘッジファンドやインベストメントバンクで鍛えられたプロのファイナンシャル・エンジニアがおり、彼らが作り出す様々な「金融商品」は、「ポンジスキーム」と「魅力的な金融商品」の境目を曖昧なものにし、それがWeb3の世界を「お金が先にある」不思議でキケンな業界にしてしまっています。

過去に起こった
詐欺まがいの行為

 詐欺まがいの行為として典型的なのが、2017年から2018年に起こったICOブームです。ICOとはInitial Coin Offering(新規公開暗号資産)の略で、株式の上場(IPO:Initial Public Offering 新規公開株)になぞらえて作られた造語です。新しく発行された暗号資産を、暗号資産取引所で取引できるようになることを指します。