実は、これらの行動が発達障害で現れる症候によく似ているので、「からだの脳」が育っていない子は、「発達障害」と勘違いされてしまうことも往々にしてあるのです。これこそ、まさに発達障害もどきだといえるでしょう。

 だからこそ、「からだの脳→おりこうさん脳→こころの脳」の順番に、脳の部位を育てていくことが健全な脳の発達には欠かせないのです。

脳をつくり直すたった1つの方法

 ここまでお読みになって、うちは小さい頃からおけいこごとをやらせすぎていた、脳のバランスがすでに崩れているかもと思ったとしても、心配はいりません。脳は何歳からでもつくり直せるからです。特に発達が目まぐるしい子どもならすぐに変わります。

 では、何をすればいいのでしょうか。

 その方法として、行ってほしいのが「生活の改善」です。生活を改善すると、(1)からだの脳の育て直しができ、脳のバランスが整う、(2)セロトニン神経を育てられる、(3)睡眠が安定する、といった3つのよいことが起き、発達障害もどきの子でも言動がみるみる変わっていきます。

 ここでどうしても食事ができないという3歳の女の子・Oちゃんの事例を見てみましょう。

 お母さんが相談にいらした当初、Oちゃんは偏食がひどく、食卓に座らせてもほぼ何も食べません。お母さんにOちゃんの生活について聞いてみると、物心ついてから午前0時より前に寝たことがほぼないというではありませんか。

 毎晩21時から寝かしつけを始めるのですが、布団にいってもOちゃんが起き出し、遊んでしまって眠らない。22時頃になり少しうとうとし始めたかなと思ったところで、お父さんが帰ってきてしまうのだそうです。すると、喜んでお父さんのところに行き、お父さんと遊んでしまう……。結局、やっと午前0時を過ぎた頃に寝つくので、翌朝は当然起きられません。昼まで寝ていることもあるといいます。やっと昼頃に起きてきたOちゃんにご飯を食べさせようとしてもまったく食べず、しばらくしてから自分の食べたいものを少しだけ食べる生活が続いているとのことでした。