食べたグラム数がカウントされ、上のランクに昇格すればクーポンがもらえる。また、毎回の食事には何らかのドリンクが無料、さらに誕生月は無料で飲食することができたのであった。

 SNSを中心に改悪といわれた新たな肉マイレージシステムが開始された21年と22年のペッパーフードサービスの業績を広報資料で見てみる。そこで売り上げ、客数、客単価の数字を見てみると、新型コロナウイルス感染拡大と原材料費高騰の影響があった期間だが、一見回復傾向に見える。ここだけを見れば右肩上がりに善戦している様子だった。

 しかし、ここで注意しなければならないのは、この数字は前年実績との対比による伸び率である点だ。コロナ1年目の20年は、業績は前年と比較して大きく落ち込んでおり、その落ち込んだところからの伸び率であるため、善戦しているように見える。

 ここで、コロナ禍前の19年の業績を100とし、その時点と比較した数字を計算してみよう。すると以下のようになる。

 たとえば、22年の売り上げ割合の算出方法は、その前年21年の31.0%に対して91.1%となるので、掛け合わせると28.2%になる(計算式:31.0×91.1÷100=28.2)。

 つまり、コロナで落ち込み過ぎる前の時点の19年を100%とみなすと、3年たった22年は売り上げ、客数ともに約30%の水準まで減少している異常事態になっている。

 これは、21年からの肉マイレージ制度のシステム変更以降も売り上げは回復せず、それどころかさらに悪化する結果となっていた。コロナ禍であったことは無視できないものの、21年のシステム変更は大失敗だったといえるのではないだろうか。

 このような苦境に陥ったため、テコ入れが必要であったに違いない。そこで、昔のように「肉マイレージ」のシステムをグラムのカウントに戻し、客を呼び戻そうとしているのではないか。それほど今は崖っぷちの危険的状態にあるといえよう。

 また、値上げしたにもかかわらず、客単価は90%を割ってしまっている。これは「肉マイレージ」のシステムを食べたグラム数から来店回数のポイント制に変更してしまったため、昼のランチなど客単価の低いものを食べる客が増えてしまったと考えられる。

 つまり、それまでの既存会員はシステム変更で「裏切られた」と不満に思い、それが客離れを引き起こし、その上、新規会員も増えていなかったことがこの数字から読み取れるのだ。