実家の片付けは、好きなところから始めようとすると失敗しがちなので要注意。まずは子どもが「自分の物の整理から」と着手したり、親の思い入れの少ない場所から片付けるのがコツだ。

「親世代は、たとえ家族であっても、他人に片付けてもらうことを恥ずかしいことだと思っている場合が多い。その気持ちを考慮した上で、なるべく親の思い入れの少ない場所から片付けをスタートするのが、お互いに揉めずに、片付けのゴールまでたどり着きやすい」(渡部さん)

 最後に、親とケンカせずに物を手放してもらうための魔法の言葉が「ちょうだい」。「こんなものいらない」じゃなく「ちょうだい(欲しい)」と言われると悪い気はしない。むしろ自分のものが必要とされて嬉しいと感じる親が多い。

「自分のものになれば、あとは自分でいる、いらないを決められます。もらってしまえば、あとは子どもが判断すればいいこと。“これ、捨てていい?”“いや、まだ使うから”と埒が明かないときには、ぜひ使ってみて。一気に片付けが進む魔法の言葉です」(同)

 片付けは親孝行のチャンスでもある。少しでも長く安心・安全・健康に暮らせる空間に住んでもらうためにも、この春ぜひ取り組んでみては。(フリーランス記者・松岡かすみ)

週刊朝日 2023年3月17日号

AERA dot.より転載