高齢になると身体機能が衰え、これまでのような動きができなくなることがあるため、椅子や脚立に乗らないと取れないような天袋や棚の高い場所に収納しているものは、なるべく下ろしたほうが良い。同様に、床下収納など、しゃがんで物を取る動作は、高齢になるほど身体に大きな負担がかかる。そのため、床下などにしまっているものも、取り出しやすい位置に移動させる。
次に、動線を考えた物の置き場所を考えること。例えば出かけるときのカバンや時計など、身につける順番が決まっているものは、近い場所に置く。キッチンの収納もしかりで、コンロの近くに木べら、菜箸、調味料を置くなど、料理しやすい動線を考えて物の置き場所を決めよう。
「親世代は、収納がうまく機能していないと、“やりたいのにできない”という気持ちになりがち。年とともに身体機能が落ちてくる傾向を踏まえて、なるべく物の出し入れがしやすい位置と動線の中に、よく使うものを置くように工夫しましょう」(同)
「ちょうだい」が片付けに効く
また、実家が片付かない原因の中で意外と多いのが、子どもの物が実家に置いたままになっているケースだ。もし実家に置きっぱなしにしている物があるなら、最初に自分の荷物の整理から手をつけると良い。親は子どもの物が目につく場所にあると、それが意外なストレスになって片付ける気力が出ないという場合もあるという。子どもは「なんで親は片付けないんだろう」と思っても、親からすれば「あなたの物があるから」ということになるのだ。子どもが親に「実家にある自分の物は全部捨てて良い」と言ったとしても、親としては子どもの物は捨てづらいという。
「親は子どもの物が邪魔でも手を出せないもの。実家が片付かないのは、実は子どもの荷物のせいというケースも少なくないのです。そこで実家を片付けたいなら、まずは実家にある自分のものを引き揚げましょう。すると親も自然と片付けようという気になるはずです」(同)