今回は、ハワイと日本での『税金』問題について説明します。当然のことですが、日本とアメリカの税制には違いがあります。日本とハワイの両方に行き来するなら、税制の違いについての理解を深めておきましょう。
過去3年間の米国在住期間の合計が
183日以上だと居住者と見なされる
ハワイに不動産を購入したり、定期預金を預けたり、日本とハワイを行き来したりすることによって、気になることが生じてくるかもしれません。それは、税金の問題です。人によっては、『日本とアメリカで税金を二重取りされるのではないか』といった不安を抱く方もあるようです。
不動産に関わる税については前章に書きましたが、ここではさらに所得税、相続税、贈与税について、ざっと概略をお話ししておきましょう。個々のケースについては税理士さんやアメリカの公認会計士が専門です。複雑な場合や額が大きくなるケースでは専門家に相談してみてください。
まず、『どこに税金を払うか』ということについて説明しましょう。これには、税を払う人が「どこの国の居住者なのか」ということが問題となります。
私たちは、居住者といえば、日本に国籍があるから日本の居住者だと捉えがちですが、『税法上の居住者』とは、国籍に関係なく国ごとの決めごとがあります。
日本の場合は『日本国内に住所があるか、1年以上日本に居所がある個人』。これが居住者の定義です。日本の居住者は、国内の所得(国内源泉所得)であれ、海外で得た所得(海外源泉所得)であれ、すべての所得(全世界所得)が日本の税金の課税対象となります。
では、ハワイの不動産で得た収益について、アメリカで税金を納めた場合はどうなるのでしょうか? その場合は、税金で納めた分は控除の対象、つまり、日本で納めるべき税金からその分を差し引くことになります。こうして二重に課税されることを回避しているわけです。これは日本がアメリカをはじめ各国と締結している『租税条約』に基づいた『外国税額控除制度』という取り決めごとです。