SVB破綻で原油相場も急落、持ち直しにつながる相場の強材料とは?Photo:123RF

米シリコンバレー銀行の破綻などを受け、原油相場にも強烈な下押し圧力がかかった。この先は強弱の材料が交錯する中、原油相場はどこへ向かうのか。直近ピークを付けた1月末前後からの動向を分析するとともに、この先想定される主な相場材料をひもといていく。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

中国需要回復や米利上げ減速期待で
原油相場は1月下旬に直近ピーク

 原油相場は比較的狭いレンジで方向感なく推移していたが、金融システムへの不安からリスク回避の動きが強まる中、リスク資産の一角である原油も下げがきつくなった。3月15日には米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)で1バレルあたり65.65ドル、欧州北海産のブレントで71.67ドルと、2021年12月以来の安値を付けた。

 それまでは、直近の底値が昨年12月9日に付けたWTIで70.08ドル、ブレントで75.11ドル、ピークが今年1月23日に付けたWTIの82.64ドル、ブレントの89.09ドルだった。

 まず、1月下旬に直近ピークを付けた前後の原油相場の変動材料を振り返ってみる。

 同月19日にはIEA(国際エネルギー機関)のビロル事務局長が中国景気の回復とロシア制裁の影響で原油市場がタイトになるとの見通しを示したことや、12日発表の12月の米CPI(消費者物価指数)の下振れなどを受けて米利上げ減速観測が強まっていたこと、20日に米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した国内石油掘削リグ稼働数が減少して2022年11月以来の低水準にとどまったことなどが支援材料になった。23日には、12月上旬以来の高値を付けた。しかし、そこが直近のピークになった。

 さらに27日は、ロイターがロシアのバルト海沿岸の港で1月に積み出される原油が12月から50%増になると報道したことを受けて下落した。

 2月1日に米FOMC(連邦公開市場委員会)の結果発表、2日にECB(欧州中央銀行)の定例理事会、英BOE(イングランド銀行)の金融政策委員会が開かれた中、それぞれ利上げの決定が見込まれていたことから景気減速観測につながり、1月30日は原油を含むリスク資産全般が売られやすくなった。

 OPEC(石油輸出国機構)と非OPEC産油国で構成する「OPECプラス」のJMMC(合同閣僚監視委員会)を巡っては2月初旬、原油生産方針の変更の可能性は低いとの関係者の見方が報道された。

 もっとも、10~12月期の米ECI(雇用コスト指数)の伸びが市場予想を下回り、利上げ減速観測が強まってドル安につながると、1月31日はドル建ての原油相場は割安感から買われた。アジア時間に発表された中国国家統計局による1月の製造業PMIが判断基準となる50を4カ月ぶりに上回ったことも強材料とされた。

 以降では、2月以降の原油相場の動向を分析するとともに、今後の方向感を展望。想定される強弱それぞれの相場材料をひもといていく。