2023年の原油相場は、変動幅の大きい不安定な動きとなりそうだ。ロシアの供給減少、米利上げの休止、中国のゼロコロナ政策撤廃といった買い材料と、金利高止まりによる主要国の景気減速や中国の新型コロナウイルス感染拡大などの売り材料が交錯する。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
2022年3月に08年以来の高値
12月に1年ぶりの安値
2022年2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻し、西側諸国による対ロ制裁やロシア産品が敬遠される中で、エネルギー、金属、穀物などの供給が混乱するとの懸念が広がり、コモディティー(商品)価格が急騰した。
その後、中国での新型コロナウイルスの感染拡大や主要国での金融引き締めが景気後退や資源需要減退への懸念につながり、コモディティー相場は下落に転じた。
コモディティーの中心的存在の原油の相場は、22年3月上旬に米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)で一時1バレル当たり130.50ドル、欧州北海産のブレントで139.13ドルと08年以来の高値まで上昇した。
その後、いったん下落する場面もあったが、6月上旬にはWTI、ブレントともに120ドル台と高止まりした。しかし、8月前半頃には、原油相場は概ねロシアによるウクライナ侵攻以前の相場水準まで下落した。
9月~11月前半頃の原油相場は日々の値動きは荒い中でも方向感なく推移したが、11月後半頃から再び下落傾向が強まり、12月上旬には約1年ぶりの安値を付けた。
次ページ以降、22年末からの相場の背景を分析していく。