平成元年のデザイン博で一新した名駅
「迷駅」の汚名返上に向けて再始動

 時計の針を巻き戻すこと1989(平成元)年、名古屋市は市政100周年を「世界デザイン博覧会」(以下:デザイン博)開催で飾った。前年に予定されていた「名古屋オリンピック」は招致がかなわなかったものの、デザイン博には5カ月間で1500万人が来場するにぎわいを見せた。開催に合わせて市は、道路標識やバス停、ごみ箱、マンホール、カラー舗装などを「計算不能。1000億円は下らない」(当時の名古屋市の談話)規模で一新した。

「メイエキ」こと名古屋駅エリアでは、3社1局・8路線の鉄道(当時)が乗り入れる駅の目印となるよう、市がデザイン博の一環として駅の桜通口(東側)・太閤通口(西側)に噴水機能を備えたモニュメントを設置。個性的なフォルムは、地元メディアなどから「無味乾燥な都市から、潤いのある街へ」「実用性一辺倒からの脱却」と称賛され、長きにわたって名古屋駅のシンボルとして親しまれてきた。

 それから30年超が経過した現在、新駅の建設に伴う再開発でこれらのモニュメントも次々と撤去されている。名古屋駅は、乗り換えが非常に分かりづらいことから「迷駅」(メイエキ)とも呼ばれている。そこで、動線を見直し、駅の見通し景観の改善に踏み切ったというわけだ。

 さて、モニュメントの跡地は今後どうなるのだろうか。名古屋市は、「飛翔」跡地の再開発予定を発表している。その資料から読み解いてみよう。

名古屋駅桜通口「飛翔」跡地の再開発予定図。名古屋市「名古屋駅街づくりの現在の状況」より名古屋駅桜通口「飛翔」跡地の再開発予定図。名古屋市「名古屋駅街づくりの現在の状況」より 拡大画像表示

 まず、「飛翔」跡地と駅を隔てる道路が封鎖され、駅前のタクシーロータリーが歩行者用の通路になる。これにより、長年“離れ小島”状態だった「飛翔」跡地から駅の入り口~コンコースまでが直線の地上通路でつながる。交差点はロータリーからY字状に改修され、「飛翔」があった場所は平地となるため、ドライバーの視界は良くなるだろう。

 そして駅前には、新幹線・JR在来線・地下鉄桜通線、そしてリニア中央新幹線などの乗り換えをスムーズに行う「ターミナルスクエア2(仮称)」が整備され、かつて「飛翔」があった場所は広々とした駅前広場となる。

「飛翔」跡地から東側に続く桜通は、イチョウ並木の美しさで知られている。秋になると一面、黄色に染まる街並みが、新しい駅前広場から眺められるようになるだろう。

 なお、モニュメントに課されていた「駅の視認性を高める」役目は、99年に完成した現在のJR名古屋駅ビル「JRセントラルタワーズ」によって十分に果たされている。2本のツインタワーからなるこのビルの高さは最高で245.1mもあり、名古屋市内はおろか、50km離れた三重県四日市市からもくっきり見えるのだ。

「JRゲートタワー」、名古屋駅ビル「JRセントラルタワーズ」左から、「JRゲートタワー」、名古屋駅ビル「JRセントラルタワーズ」(中央2本) Photo by W.M.