以前、取材で訪れたフィンランドの大学図書館の司書から「子どもにとって図書館の本と家の本は違う。大好きな両親が選んだ自分だけの本が本棚にあるだけでうれしかった」、そんな話を聞いたことがあります。

「本の内容は難しかったけれど、理解したいという欲求のほうが強くて読破。でもやっぱり分からなかった」というオチもありましたが、大きくなって読み返すと、その時の読書体験が今の自分の人生につながっているという感覚を覚えたそうです。

 子どもが好きな本に重心を置いての選書は原則ですが、たとえ難しい内容であったとしても、親が大切なメッセージを込めて子どもに贈る「自分の本」は、図書館にある「みんなの本」とは少し異なった役割を果たしているように思います。

 新学期でやる気に満ちたこの季節、そんな小学生に、特別な読書体験として親から贈りたい本を集めてみました。

 テーマに据えたのは、これからの子どもたちが活躍するために必要な「国際力」です。

 そして、ここが肝心なのですが、贈った本は子どもと一緒に読みましょう。一人で読める中・高学年でも、まずは一緒に読んでみる、もしくは本について一緒に話をすることが大切です。子どもの心に本のエッセンスを届けるには、これがとても有効に作用することを読書の現場でたくさん見てきました。