未就学児限定の自治体から最長24歳まで補助する自治体まで
市区町村によって大きく異なる助成内容
厚生労働省の「乳幼児等医療費に対する援助の実施状況」(2021年4月1日現在)によると、対象年齢は、通院が15歳年度末、入院は18歳年度末まで実施している市区町村がいちばん多い。
子育て世代は自治体の支援策にも敏感で、住宅購入する際なども子育てしやすい地域が選ばれる傾向がある。人口が増加すれば、税収が増えるだけではなく、町も活性化する。そうした町おこし的な意味合いもあり、子どもの医療費助成制度は拡大傾向にある。
だが、愛知県の豊田市や東海市のように、入院の医療費を24歳年度末まで助成する自治体もある一方で、鹿児島県の伊佐市や徳之島町のように就学前までしか助成がない地域もある。
親などの扶養者の所得制限についても、「扶養親族1人の場合は約870万円」など緩やかな基準のものもあれば、「住民税非課税以下」など、対象者を厳しく絞っている地域もある。また、助成金額についても、医療費の全額を助成する自治体もあれば、「1カ月の医療費が2000円を超えた場合」「1回の通院で500円を超えた部分」などまちまちだ。
このように、助成内容は自治体の財政力によるところが大きく、一口に「子どもの医療費助成制度」といっても、住んでいる地域でかなりのばらつきがあるのが実情だ。医療費助成が充実している市区町村は、往々にして、その他の子育て事業も熱心に行っている。生活防衛するなら、市町村のホームページなどで子育て支援策を比較して、暮らす場所を選ぶようにするのもひとつの手段だろう。
だが、子どもの医療費助成制度を、社会保障や福祉の観点から眺めると、かなりのゆがみが生じている。