会話中にすぐ別の話を始めてしまう【8歳・ADHDの女子】と
ボーッとして話を聞かない【9歳・ASDの男子】の例

 ADHDのMさん(8歳・女子)は、お母さんと話をしている最中なのに、自分から唐突にまったく別の話をはじめてしまうことがあります。特に、学校の授業の話をしているときにその傾向が強いのだとか。

 ADHDの人には注意力散漫の特性があり、自分が興味を持てない話には集中できないことがあります。そして“マインド・ワンダリング”といって、目の前の話とは別のことに意識が向き、頭の中ではまったく別のことを考え、唐突にその話をはじめてしまうことがあるのです。

 このマインド・ワンダリングの状態になると、集中してひとつのことを成し遂げるのが難しくなるため、ささいなミスや忘れ物の原因になってしまうこともあります。その結果、叱責を受けたりすると自信を失ってしまうことにもなりかねません。

 また、ASDのS君(9歳・男子)は、ご両親と話しているとき、ただボーッとしていることが多いそうです。学校で先生と2人で向き合っていても、話を聞いていないことが多いと連絡があったとか。

 ASDの人の場合、心地よくいられる“自分の世界”のようなものが頭の中にあり、少しでも苦痛な話をされると、すぐに自分の世界へと逃避してしまうことがあります。周囲からはただボーッとしているように見えますが、頭の中では、自分が大好きな世界が広がっていて、話が耳に入らないのです。

 全然話を聞かない息子に、ついイライラしてしまうというS君のお母さんは、私にこんな胸の内を聞かせてくれました。

「運動が苦手なうちの子。親としては気になるので、体育があった日は『どうだった?』と聞くのですが、たいがいボーッとしているか、好きな電車の話を勝手にはじめてしまいます。『聞いてる? そんな話してない!』と感情的になっては反省を繰り返しています」