激変の時代に、従来の「一人型」キャリア構築は通用しない
安定した社会では、キャリアを「一人」で築くことも可能だったかもしれません。道は自ずと開いたかもしれません。何しろ、成功のレールが存在していましたから。人より勉強して、人よりいい点数を取って、人よりいい学校に合格して、人よりいい会社に入って、出世街道に乗る。そうして待っているのは、年功序列、終身雇用、定年退職、悠々自適の老後でした。
ですが、最後にそんな言葉を聞いたのはいつのことでしょうか? 従来の幸せと成功のレールはもはや崩れています。そして崩れた今、私たちはまったく別の時代を生きています。そこでは、従来のように一人でキャリアをつくっていくのは難しいのです。道が自ずと開けるということもないでしょう。
そんな社会では、ますます情報を与えてくれる人、人を紹介してくれる人、心を支えてくれる人、やり方を見せてくれる人、失敗を共有してくれる人、やり抜けるように声をかけてくれる人など、いろんな応援が必要です。
応援される自分になったとき、一人では思ってもみなかったようなキャリアを構築できていることでしょう。「共感力」を身につけて、応援される自分をつくりましょう。
では、応援される自分になるために必要なことは何か? それは、人に思わずあなたを助けたい、応援したいという思いを抱かせる「巻き込む力」です。
「利己+利他」の精神を持った、役に立つ人ってどんな人?
たとえば、パティシエになりたいとします。「甘いものが好きだから、パティシエになりたい」のか、「家族を笑顔にするケーキを作りたい」「小麦アレルギーの子も安心して食べられるお菓子を作るパティシエになりたい」のか。
たとえば、本が好きだとします。「本が好きだから書店で働きたい」のか、「推理小説好きの人が話題の書を見つけやすいようなコーナーを作りたい」のか。
たとえば、美容師になりたいとします。「どこに行っても働けるから美容師になりたい」のか、「髪が薄くなってきた女性が美しさを感じられるように美容師になりたい」のか。
たとえば、医者になりたいとします。「一番入るのが難しいのが医学部だから、医者になりたい」のか、「病気で苦しむ人を助けたいから、医者になりたい」のか。
このように考えていくと、利他の精神も役に立つ人になることも全然難しいことではないのです。これまでの自分の夢に、「自分以外の誰かのために」という視点を取り入れればいいだけです。