おおまかな相場と導入時の検討ポイント

 ガーデンオフィスの気になる導入費用だが、言うまでもなくピンキリである。土台にコンクリートを用いた本格的な造りのものを400万円前後で提供している海外のメーカーを見かけたが、これはガーデンオフィスの中でもトップグレードである。

 もっと安価にするなら木材を組み合わせたミニログハウス風や、プレハブやコンテナなどの完成したハコをポンと置くだけのものもあって、安くて20万円、もうちょっといいもので50万円、さらによくて100万円、上物コンテナ200万円などである。ただしプレハブ(トイレ・シャワー付き)で言えばだいたい60万円、ログハウス組み立てキットなら100万円も出せばかなり見栄えのいいものを手に入れることができそうである。
 
 ネットでいろいろ見ていると、よさげなコンテナハウスが約9000円で売られたりしていて、消費者を「安い!」「まさかその価格で…?」と驚かせるが、その“まさか”であり、別途配送料560万円が設定されていたりするので注意が必要である。
 
 コストをかけるほど立派になっていくのは通常の住宅と同様だから、予算の範囲内でなるべく納得のいくものを選択したい。導入するか否か、悩みどころとなり得るポイントには以下のような例が挙げられる。

●ソーラーパネル
設置すれば母屋から電線を引っ張る必要がなく、また「クリーンエネルギー」ということで気持ちよく感じる(かもしれない)。

●水回り
トイレやシャワー、キッチンの機能を母屋に委ねるか、ガーデンオフィスにも備えるか。当然、母屋による部分を極力なくした方がガーデンオフィスの隔絶感は増し、つまり所有者のワクワクも増す。

●ウッドデッキ
テンションが上がるが腐食防止などのメンテナンスが少し大変。

●セキュリティー
立地場所によっては積極的に導入されるべきだ。母屋より侵入が簡単なので、高価なものを置く場合はしかるべきセキュリティーが必要。

●断熱材
断熱効果が高いほど冬場は安心だが夏場は地獄となる。特に大抵のガーデンオフィスは採光がすこぶるよろしく設計されるので、熱がこもらない工夫(風の通り道の確保や日よけの設置など)が必要となる。

●バイオフィリック・デザイン
室内でも自然を感じるようなデザインのこと。きれいなオフィス内に、やけにたくさん植物が生えているのを想像してほしい。そもそも大抵のガーデンオフィスは、ガラス戸や巨大窓の導入によって開放感が強く追求されている。屋外を感じさせる“室内の植物”は、ガーデンオフィスと親和性が高い。

 なお、ガーデンオフィスの設置は法的にどうか。通常、建物を新しく建てる場合は事前に申請と確認が必要となるが、特殊な地域でない限り床面積の合計が10平方メートル以内であれば申請は不要である(建築基準法・第6条2項)。そして10平方メートルといえば1辺が3.16メートルの正方形相当であり、他の単位に換算するなら3.025坪、6.46畳(江戸間)となる。
 
 はたしてどれくらいの広さが妥当かは「その人のニーズによる」としかいえないのだが、デスクを置いて仕事をするだけなら、たしかに1坪もあれば十分である。注文住宅を扱っているある企業のサイトには4.5畳のガーデンオフィスのイメージ画像があったが、これを見た印象だと「4.5畳あればかなり充実した作業スペースが確保できる」と多くの人が思うに違いない。つまり、よほど大きいガーデンオフィスをもくろまない限り、建築申請は不要である。