「帯状疱疹の主な症状は、皮膚の発疹。体の左右どちらかの神経に沿って、赤い斑点と水ぶくれが帯状に生じます。また、皮膚症状とともに神経にも炎症を起こし、痛みやかゆみを感じるのも特徴です。痛みの強さはまちまちで、まったく痛みがない人もいれば『焼けるような』『締め付けるような』『ズキンズキンとする』持続性の痛みが続き、眠れない夜を過ごす人もいます」

帯状疱疹のイラスト体の左右どちらかの神経に沿って帯状に赤い発疹が現れる帯状疱疹。発疹が生じる部位でもっとも多いのは、上半身から胸や背(上肢~胸背部)、次いで腹から背(腹背部)だという。 イラスト:イラストAC/KOKEMOMO

 発疹が現れる2~3日前から痛みを感じる人が多く、上半身が痛むため「腰痛」と勘違いする人も。渡辺氏は「発疹がなく“体の片側だけピリピリする”など、普段とは違う感覚があるなら、帯状疱疹の初期症状の疑いがある」と話す。

「通常ならば、3週間ほどで皮膚症状も痛みも治まります。しかし、神経の損傷が激しい場合は、発疹が消えた後も痛みが続く『帯状疱疹後神経痛(PHN)』という後遺症が残ることもあります。ウイルス感染によって神経が破壊され、神経の痛みを伝える回路が過敏になってしまった状態です。一日中痛みが続き、顔を洗う、シャツを着るなど、普段なら“痛い”と思わない刺激も痛みと感じるなどの症状が現れます」

 帯状疱疹発症時の痛みが強く、皮膚症状が重かった人はPHNに移行しやすく、50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割がPHNになるという。何げない動作にも激痛が走るため、日常生活を送るのも苦労するそうだ。

 また、水ぼうそうとは異なり、他人にうつる疾患ではないという特徴もある、と渡辺氏。

「帯状疱疹は、体の中のウイルスの再活性化が原因のため、水ぼうそうになった経験がある人には感染しません。ただし“まだ水ぼうそうになっていない人” と帯状庖疹の人が接触すると、水ぼうそうを発症する可能性があります。もしも帯状疱疹を発症した場合は、水ぼうそうにかかっていない乳幼児や、幼児には接触しないようにしましょう」

 がんや糖尿病などの基礎疾患の影響で免疫力が低下している人も、ウイルス感染のリスクがあるため、同様の注意が必要だという。