足をそろえたり、手を合わせたりすることは誰にでもできます。それでネガティブな感情を断ち切れるなら、こんなに簡単なことはありません。感情は常に揺れ動いているので、またネガティブな感情に傾くこともあるでしょう。そこでまた、足をそろえたり、手を合わせたりする。

 くり返していると、気持ちを切り替え、心をリセットすることが習慣になります。その習慣が、もやだるをどんどん遠ざけることになるのです。

座禅に通じる
「手拍子パチン」

 リセットスイッチは、もやだるの原因となる出来事が起きたときに、ネガティブに振れた感情がだらだらと続かないように、スパッと断ち切って「今」に戻れるスイッチです。スイッチのポイントは、体を動かして五感を刺激すること。そして3秒くらいでできる簡単な動作にすることです。

 手を使ったスイッチから紹介しましょう。ひとつめは「手拍子パチン」。

 一本締め、三本締め、一丁締めなど、日本には、宴会やイベントのお開きにみんなで手拍子を打つ「手締め」という風習があります。みなさんも、みんなと一緒に、両手を合わせてパチンと音を鳴らしたことがあるのではないでしょうか。

 リセットスイッチの「手拍子パチン」は、一丁締めと同じく、パチンと一回打ち鳴らすだけです。それだけで、パチンと耳に響く音が、ネガティブに振れた感情を「今」に戻してくれます。

 みなさんは、お坊さんが座禅をしている人の肩や背中を、薄い板状の棒(「警策」といいます)でパチンと打つシーンを見たことがあるでしょうか?

 生で見たことはなくても、テレビやインターネットなどで見たことがある人は多いと思います。お寺で開催している坐禅会に参加されたことがある人は、打ってもらったことがあるかもしれませんね。

 お坊さんが警策を打つときに気をつけているのは、強く打つというよりも、しっかり音を出すことです。そして、打たれたほうは、その音に反応して、ネガティブな感情に覆われそうになっている心をリセットしているのです。

 つまり「手拍子パチン」は、自分で自分に警策を打つようなもの。しかも手拍子なら、思い切り叩けば大きな音を鳴らすことができます。