幸せを祈ったあとに
イライラするのは難しい

 手を使ったスイッチ2つめは、「合掌」。

 両方の手のひらを胸の前で合わせることを合掌といいますが、みなさんも神仏の前では合掌するのがふつうだと思います。そういうときだけでなく、感謝の気持ちを伝えるときに手を合わせることもあるのではないでしょうか。海外で活躍するスポーツ選手の映像のなかに、海外の選手たちが、日本人選手に手を合わせて一礼する場面を見たことがあると思います。

書影『もやだるさんのリセットスイッチ』『もやだるさんのリセットスイッチ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
伊藤東凌 著

 この合掌も、リセットスイッチのひとつです。

 注意点は、両手のひらが触れ合っている部分に意識を向けること。右手で左手を、左手で右手を感じることがポイントになります。私たちは、ふだん自分の体を感じることはあまりないと思います。それだけに手のひらに意識を集中することで「今」に戻りやすくなるのです。

 ただし、もやだる状態が長く続いている人は、手を合わせている3秒間に、イヤなことが頭に浮かんできてネガティブな感情が生まれることがあるかもしれません。

 そんなときは「私は幸せでありますように、みんなも幸せでありますように」と声に出して唱えましょう。声を出せない状況なら、心の中で唱えてもかまいません。これは、テーラワーダ仏教で大切にされている「慈悲の瞑想」で使われるフレーズを参考にした言葉でもあります。

 自分や他人の幸せを祈ったあとに、イライラしたり、むかついたりするのは、なかなか難しいものです。