炎上に加担する日本のネット民が韓国の反日政治家と本質的に同じ理由を脳科学者が解説写真はイメージです Photo:PIXTA

日々、発生している「炎上」。一度火がつくと当事者は徹底的に叩かれ、社会的に大きな制裁が加えられることも珍しくない。そんな炎上が発生し、広がり続ける理由とは。本稿は、西剛志著『あなたの世界をガラリと変える 認知バイアスの教科書』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

内には優しく、外には厳しい
炎上に影響する「内集団バイアス」

 ある日、あなたがツイッターで「雨の日が嫌いだ」とツイートしたとします。

 友人たちからの「いいね」の通知が届いたあと、突然、見知らぬ人から「もし雨が降らなかったら、地球はどうなると思っているんだ!」というコメントがつきます。

「そんなつもりでつぶやいたわけでは……」と返すと、さらに「農作物のこと、何も考えていない人ですね」「水不足って言葉、知ってます?」「そもそも好き嫌いを言う必要が?」と批判が集まり、攻撃され、そのやりとりがリツイートされて拡散。

 気づけば、経験したことのない大炎上へ……。

 ありえないたとえ話だと感じたかもしれません。しかし、スキャンダルがきっかけで芸能人や著名人が炎上するときも、ほぼ同じ構造で火の手が上がり、広がっていきます。

 ちなみに、炎上とは「インターネット上の意見が主導となって特定の対象(有名人・企業・一般人)に非難、批判が集まっている状態のこと。非難、批判の高まりを「燃える、燃え上がる」という現象にたとえて生まれた用語です。

 きっかけとなるスキャンダルが本人の落ち度である場合も、そうではない場合も、一度、火の手が上がると炎上は止まりません。

 このとき大きな影響を与えているのが、「内集団バイアス」です。これは「自分が属している集団にはやさしく、外の集団には厳しく評価する」認知バイアス。「内集団ひいき(In-group favoritism)」とも言われます。

 狩猟時代からわたしたちは、敵と味方を見分けなければ生き残ることができませんでした。そこで、自分と同じ特徴があるものは味方、それ以外は敵だと判断する認知バイアスが発達していったのです。

わざと論点をずらして
延々と相手を叩く人たち

 たとえば、バイト先や仕事先、飲み会などではじめて会った人と自己紹介をして、出身地が一緒だと、それだけでなぜか好感をもち、親しみを感じます。これは出身地という共通点によって相手を仲間と認知したから。些細な共通点でも、それが相手を内集団と認めるきっかけとなり、信頼関係が築かれていくのです。

 その点、芸能人や著名人と一般の人との間には、なかなか共通点が見つかりません。ファンと芸能人や著名人は強いつながりがあり、内集団になりますが、それ以外の人にとっての彼らは「向こう側の人」です。