夫の定年退職を待ってから
マンションを購入すると…
Aさんは「夫婦ともに70歳まで働きたい」と書かれていますが、現時点で70歳定年制の企業は少数派です。
そこで今回は、「ご主人が60歳で一度定年退職し、退職金を受け取ってから、再雇用として働く」と仮定します。
では、「ご主人が3年後に単身赴任から戻り、投資用マンション2部屋を売った」時点から試算を再開します。Aさんは49歳、ご主人は53歳。金融資産額は2191万円です。
ご主人が定年退職するまでの7年間、年間2万円の貯金をコツコツ続けると、定年退職する際の金融資産額は2205万円です。
そして、ご主人が60歳になると退職金が得られます。相談文には1500万~1800万円程度と記載がありますので、間をとって1650万円とすると、金融資産額は3855万円に拡大します。
ここでお待ちかねの中古マンションを購入することにします。2500万円を差し引くと、残額は1355万円です。
ですが、この金額は、一般的に老後資金の目安とされる2000万円には届いておらず、老後の資金繰りには不安が残ります。
「老後資金2000万円」を
用意するための貯金ペースは?
ご主人が60歳でマンションを購入した段階で、2000万円の金融資産を確保しておきたいのであれば、早めに準備を始めましょう。
そのためには、ご主人が50歳~60歳の10年間で645万円(2000万円-1355万円)を貯蓄する必要があります。
ご主人の収入が減額となり、社宅費が増加してからの貯蓄はなかなか難しそうなので、今すぐにでも削れる支出は削り、準備を始めてみてください。
支出内訳の記載がないため、どの部分を削減すべきかアドバイスできませんが、一般論から言えば通信費や生命保険料が見直しの候補になるはずです。
ご主人が60歳までに2000万円を用意するのが難しい場合は、それ以降も貯蓄を行って、70歳までに2000万円を準備するという方法でも良さそうです。
一つの目安ですが、下記のプランはいかがでしょうか。
・ご主人が50歳~60歳の10年間は、毎月3.5万円(毎年42万円)をためる
・ご主人が60歳~70歳の10年間は、毎月2万円(毎年24万円)をためる
※今回の試算では、試算対象の年齢になった誕生日から、次の誕生日までの期間を「1年」として計測しています。
このペースの貯金であれば、ハードルはかなり低くなるのではないでしょうか。70歳時点で老後資金が2000万円準備できていれば、人生100年時代にも対応できるはずです。
そして最後に、ご主人が70歳以降の家計収支についても触れておきます。