金融不安は一服なのか
破綻は個別銀行問題?

 インフレ抑制で利上げを進めてきた欧米中央銀行に思わぬ障害が立ちはだかった。

 米国の地方銀行であるシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の2行が3月上旬、突然、破綻し、米銀行の経営不安はクレディ・スイス買収劇へと欧州にも波及した。

 だがこのところの株価の動きを見る限り、金融不安の拡大は収まったかのようにもみえる。

 リーマンショック後、さまざまな金融規制が強化され、一連の破綻は個別銀行の要因によるという見方が広がったことが背景にある。

 だが注意が必要なのは、個別銀行というミクロの視点とマクロの視点での信用リスクは時に見えるものが違うことだ。

 市場関係者のコメントには、金融不安問題が一服という見方を聞くこともあるが、本当にそうなのだろうか。

 利上げ局面では、なお“火種”は残っていると考えたほうがいい。