少し料理を食べたら、いっそプレートは手放す
立食の美醜は「背中」に表れる
立食のときに、おそらく多くの人が意識していないのは「姿勢」です。
着席の食事では、同席者に自分の背中を見られることは、ほぼありません。一方、参加者が自由に動き回る立食パーティでは、背中が丸見えです。そのため、立食の美醜は「背中」に表れるといってもいいくらい、姿勢が重要なのです。
猫背になって、プレートに覆いかぶさるように食べるのは美しくありません。片足に寄りかかるとだらしない印象になり、両脇が大きく開いていると品のない印象になります。
背筋は伸ばし、アゴは引く。両肩を軽く下げるようにして両脇を締め、両足に均等に重心をかけてスッと立つように意識しましょう。正しい姿勢は疲れると思われがちですが、いったん慣れてしまえば、実はこれが一番疲れない立ち方だと思います。
サイドテーブル、椅子にも公共性が表れる
立食パーティーには、ところどころサイドテーブルが配置されているものです。壁沿いに椅子が並んでいることもあるでしょう。
これらは、適時、誰もが使える止まり木のようなもの。1つのテーブルにたむろする、数名で椅子を陣取って動かない、椅子にカバンや上着を置いて場所取りをするなどの専有行為は無粋です。
左手でグラスとプレートを持ち、右手を自由にする
立食パーティは人々と交流することがメインですから、自分のプレートや飲みもののグラスを持ったまま、会場内を移動することになります。
そのとき、片手にプレート、片手にグラスでもいいのですが、両手がふさがっているのは幼い子どものようで、あまりエレガントではありません。
それに、日本人同士だとあまり重要ではありませんが、主に欧米人の交流は握手から始まります。右手は空けておくに越したことはありません。
それには、プレートを左手の小指と薬指、中指で下から支え、プレートの上に飲みもののグラスを乗せ、そのグラスを残りの親指、人差し指で持つようにします。
すると握手ができる状態を保てるだけでなく、料理と飲みものを両方とも持ったまま、右手で食べることもできます。
小倉朋子 著
こんな持ち方では不安定ではないかと思われそうですが、試してみたら、きっと意外と安定するものだと感じていただけるでしょう。
ただ、一番よくないのは、料理や飲みものをこぼして、床や相手の洋服を汚してしまうなど迷惑をかけることです。片手で持つのは不安という方は、片手にプレート、片手にグラスでかまいません。料理を食べるときはサイドテーブルを使い、食べ終えたらサッと移動するのも手です。
あるいは少し料理を食べたら、いっそプレートは手放してしまって、グラスだけを片手に会場内を動く。これも、人々との交流がメインという立食パーティの性質に合致する振る舞いといえます。