大阪府・大阪市が進める、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の区域整備計画が、4月14日に政府に認定された。『大阪ダブル選の争点「カジノIR」初期投資はUSJの7倍、雇用は1.5万人!計画の全貌とは』に続き、大阪IRができた場合のビジネス面に焦点を絞り、カジノ産業で成長が期待される企業や、日本ではあまり知られていないが、実は世界のカジノ業界では超有名な隠れた名企業を紹介する。【前、後編の前編】(ライター 三浦健史)
スロットマシンで市場シェア握る日本企業
コナミ・セガサミー・アルゼゲーミングテクノロジー
カジノで使用されるスロットマシンは、日本のパチンコ・スロット店にあるスロットマシンとは質・金額ともに、似て非なるものだ。パチスロ店のそれは高くても1台50万円程度だが、カジノにあるスロットマシンは1台200万円超の高級品で、中身はまったく違う。
カジノのスロットマシンは全てオンラインで「カジノマネジメントシステム」とつながっていて、すべてのスロットマシンのプレー状況が記録されている。たとえ停電が起きてスロットマシンのリールが回転途中で止まったとしても、「本来はどの目が出る予定だったか」、全てわかるようになっている。
回転する目は技術的に「完全なランダム」であることも、試験機関のお墨付きを得なければならない。イカサマを許さず、公平性を担保するために、ありとあらゆる措置が詰まっているマシンなのである。1台の筐体(きょうたい)でおよそ3種類のゲームに切り替わるようになっているものが多く、例えば中国人が多いカジノでは、パンダの絵柄のスロットマシンが目立つ。
このカジノに特化した高価・高品質なスロットマシンを製造・販売している日本企業が、コナミグループとセガサミーHD、アルゼゲーミングテクノロジーズである。
トップのコナミについては、1996年からカジノ市場に参画し、400以上の地域のカジノライセンスを保有し、世界のスロットマシン市場でも4~5番手の位置にいる。コナミの最新の業績資料(2023年3月期通期予想)を見ると、「ゲーミング&システム事業」(いわゆるカジノ機器部門)の売上高は375億円、事業利益は50億円。当初の通期予想を第3四半期決算発表時に大幅に上方修正しており、その理由は「北米および豪州市場ではコロナ拡大前のオペレーションに戻り、主力商品シリーズの各種筐体の販売が好調」という。