日本よりも多様な食べ方がある
海外のフルーツ活用事情
話は少しフルーツサンドからそれるが、ここで、諸外国のフルーツ活用事情を見ていこう。
果実をカットフルーツとして食べる以外にも、品種によるが、厚い果皮も煮てジャムやマーマレード、ゼリー(ジュレ)に加工して食する国もある。
また、ジューサーでジュースにして飲むことも多い。日本で「フレッシュ・ジュース」というと、高級ホテルでさえも濃縮果汁100%で提供される場合がある。海外では、必ずフルーツを搾って提供されるのがフレッシュ・ジュースである。もしも海外でメニューにフレッシュと書いてあるのに濃縮果汁が出てきたら、クレームになるであろう。
また、メイン料理のソースとして使うこともある。フランス・パリの「La Tour d'argent」(トゥール・ダルジャン)のスペシャリテ(名物料理)では、鴨肉のロースト、オレンジソース添えが有名だ。
フランス料理など欧州では、果物をソースによく利用する。果実の酸味と甘味、さらには果皮の苦味成分が、ジビエ(狩猟による鳥獣の食材)の肉料理によく合うのだ。
日本食で果物を使用した料理というと、漬物にした梅干しによる梅肉和えや魚の煮物に入れるくらいであろうか。それも決してポピュラーとはいえない。
そのため、硬めから熟した果実、果皮までも、デザート以外にも多様にフルーツを食する欧米諸国では、わざわざフルーツにクリームをつけて食べる発想や必要がないのだろう。