企業は、コロナ禍の中で学業をちゃんと継続して行うだけでも大変だということがよくわかっています。大学生活の中で学業において、どんな目標を設定し、どのような工夫で、どのような結果を残し、それを次にどう活かそうとしているのかということを語るだけでも構いません。
たとえば、ある大手企業などは「ガクチカ」での6つの評価ポイントを開示しています。具体的には、「どんなきっかけや背景があったのか」「設定したゴールは何か」「その経験をした際のあなたの役割は」「その経験の中でこだわったことは何か」「結果や学んだことは」「学んだことを今後どう生かすか」が挙げられています。それを語ってくれれば、特別な経験でなくてもよい」と宣言しているんですね。
ほかにも、「大学生活でのエピソードに限らず、高校時代でも中学校時代でも構わない」とコロナ禍の影響がない時期も含めて広く質問する企業も出てきたり、ある企業などは、「プレゼンテーション選考」という形で、過去の話ではなく未来について自分の目標を語らせる選考方法に変えたりしています。このように「ガクチカ書けない問題」を抱える学生に寄り添う企業も増えています。
総じて、「ガクチカ」はあくまで自分自身の力を活かせる職場かどうかを見極めるために分析することが大切であることを、押さえておいてほしいと思います。
企業が聞きたいことと
学生がアピールしたいことの差
ここで少し、当研究所の別の調査結果からもお話ししておきます。企業が採用基準で重視する項目トップ3はここ数年、ほぼ人柄、熱意、可能性で変わっていません。逆に学生が面接などでアピールする項目は、アルバイト経験がトップでこれもあまり変わっていません。もちろん、アルバイトの中で人柄や強みも出てくるので、アルバイト経験そのものを話すことでそれらをアピールすることにもなりますが、企業が聞きたいのは、あくまでアルバイト経験での特殊なエピソードではないわけです。
仮にアルバイト経験について聞かれたとしても、アルバイト経験を通じての自分らしさや自分の可能性、アルバイトから学んだことを企業で、どのように活かしていきたいかということを伝えることが大切で、企業はそこを見ているということを改めてお伝えしたいと思います。
(リクルート 就職みらい研究所 所長 栗田貴祥、まとめ/ライター 奥田由意)