千葉県を走るJR久留里線の一部区間は、全国有数の赤字路線だ。久留里線の中でも、なぜ久留里駅~上総亀山駅間は際立って経営が立ち行かなくなっているのか。一方、木更津駅~久留里駅間も利用客が激減し、安閑としてはいられない。現地に足を運んで実態を取材した。(ライター 宮武和多哉)
首都圏近郊なのに全国有数の赤字路線?
「沿線は東京から100km圏内で、東京駅直通の快速列車にも接続する」――。こう聞くと、首都圏への通勤・通学にさぞ重宝されている鉄道だと思うだろう。ところが、JR久留里線(千葉県の木更津駅~上総亀山駅間の全長32.2km)の一部区間の実態は、「100円稼ぐのに1万9110円の費用がかかる」。全国有数の赤字路線である。
2022年7月、JR東日本は久留里線の一部区間、久留里駅~上総亀山駅(9.6km)について、「営業係数」(100円の収入を得るための費用)が「1万9110円」(2021年度)であることを公表した。加えて、「年間で収入100万円、損失が2.8億円」「1987年から乗客数が93%減少した」など、驚きの実態も明らかに。続く23年3月、同区間に対して「バスへの転換」を選択肢に入れた「今後の在り方の協議」を沿線自治体に申し入れた。
久留里線の中でも、なぜ久留里駅~上総亀山駅間は際立って経営が立ち行かなくなっているのか。一方、木更津駅~久留里駅も30年強で利用客が75%近く減少していて、安閑としてはいられない。