いつも他人と比べてしまう」「このままでいいのか、と焦る」「いつまでたっても自信が持てない…」。仕事や人生に悩んでしまった時、どう考えればいいのでしょうか。『機嫌のデザイン』の著者であり、数々の名言がTwitterで話題となった、プロダクトデザイナー・秋田道夫氏の「毎日を機嫌よく生きるためのヒント」を紹介します。

「何事も勉強だ」と言われた帰り道、膝を打った理由Photo: Adobe Stock

知識や技術は、何からでも学べる

絵やデザインのセンスというものは、教科書的なテクニックを吸収したというより、音楽や文学、美術や建築といった文化教養に対する興味によって磨かれたような気がしています。

あとは、子どもの頃から、周囲で起きていることを観察するのが好きでした。

行動とは別に、目で見た状況の判断が常にあって、違和感に対しては敏感だったと思います。

とにかく客観的でした。

勉強を勉強と思っていないところがありましたね。

いい換えると、見るものすべてが勉強だという感覚がありました。

中学二年生の頃だったか、学校の先生が「何事も勉強だ」とおっしゃったことをいまだに覚えているんです。

なぜ覚えているかというと、ちょうどその日の帰り道に「たしかに、何事も勉強だ」と膝を打つ光景を目にしたからです。

毎日歩く通学路の脇の鉄工所をふと見ると、作業員の方が細長い棒に巻きつけたワイヤーをクルクルと回しながら解いている様子が目に留まりました。

「ああ、そうか。そのまま引き抜くのでは絡まってしまうから、回しながら解いていく。勉強になるなぁ」と十代のアキタ少年は感心したわけです。

教室で学ぶ勉強だけが勉強ではない。

万事が万事、見るものすべてが学びの対象であり、そこに上下はないという考えがわたしには根付いています。

ですから、仕事において特定の師匠もいませんし、逆に、すべての出来事が師匠だったとも考えることができます。

(秋田道夫著『機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方』から一部を抜粋・改変したものです)