「いつも他人と比べてしまう」「このままでいいのか、と焦る」「いつまでたっても自信が持てない…」。仕事や人生に悩んでしまった時、どう考えればいいのでしょうか。『機嫌のデザイン』の著者であり、数々の名言がTwitterで話題となった、プロダクトデザイナー・秋田道夫氏の「毎日を機嫌よく生きるためのヒント」を紹介します。
知識や技術は、何からでも学べる
絵やデザインのセンスというものは、教科書的なテクニックを吸収したというより、音楽や文学、美術や建築といった文化教養に対する興味によって磨かれたような気がしています。
あとは、子どもの頃から、周囲で起きていることを観察するのが好きでした。
行動とは別に、目で見た状況の判断が常にあって、違和感に対しては敏感だったと思います。
とにかく客観的でした。
勉強を勉強と思っていないところがありましたね。
いい換えると、見るものすべてが勉強だという感覚がありました。
中学二年生の頃だったか、学校の先生が「何事も勉強だ」とおっしゃったことをいまだに覚えているんです。
なぜ覚えているかというと、ちょうどその日の帰り道に「たしかに、何事も勉強だ」と膝を打つ光景を目にしたからです。
毎日歩く通学路の脇の鉄工所をふと見ると、作業員の方が細長い棒に巻きつけたワイヤーをクルクルと回しながら解いている様子が目に留まりました。
「ああ、そうか。そのまま引き抜くのでは絡まってしまうから、回しながら解いていく。勉強になるなぁ」と十代のアキタ少年は感心したわけです。
教室で学ぶ勉強だけが勉強ではない。
万事が万事、見るものすべてが学びの対象であり、そこに上下はないという考えがわたしには根付いています。
ですから、仕事において特定の師匠もいませんし、逆に、すべての出来事が師匠だったとも考えることができます。
(秋田道夫著『機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方』から一部を抜粋・改変したものです)
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いつも他人と比べてしまう。
このままでいいのか、と焦る。
いつまでたっても自信が持てない。
仕事や人生に悩んでしまった時、
どう考えればいいのでしょうか。
「何事につけ『期待するな』です。
世間にも家族にも友人にも
さらには自分にも。」
秋田道夫、69歳。
プロダクトデザイナー。
大手メーカーでオーディオ機器などの製品デザインを手がける。
その後、フリーランスとして独立。
誰もが街中でみかけるLED式薄型信号機や、
交通系ICカードのチャージ機、
虎ノ門ヒルズのセキュリティーゲートなどの公共機器をデザインする。
それだけではなく、コーヒーメーカー、1本用ワインセラー、
文房具、土鍋、ベビーソープ、カバンなど
幅広く日常生活にまつわる製品のデザインに関わる。
そして、2021年の3月からは
Twitterで「自分の思ったことや感じたこと」の発信をはじめます。
「デザインは一晩寝かした方が良い。
それより大事な事はデザイナーがちゃんと寝たほうが良い。」
「どんどん本を読んで色々なものを観てください。
そしてどんどん忘れてください。
それでも残っているのがあなたの知識です。」
これらのツイートが多くの人々の心を捉え、拡散されると、
わずか2日間で7万人以上が秋田氏をフォローしました。
現在のフォロワー数は10万人を超えています。
秋田氏の「シンプルで本質をとらえた言葉」に触れることで
日々抱いている悩みや焦り、気負いが消えていき
心がフッと軽くなると感じている人が、数多くいるのです。
そんな秋田氏が繰り返し語っているのは、
「機嫌よくいること」の大切さです。
どうすれば、自分の機嫌を自分でとることができるのか。
「別に前向きではありません。ただ機嫌がいいだけです。」
そう語る秋田氏に質問し、会話をするなかで、
「機嫌よく日々とつき合う」ためのヒントが
いくつも浮かび上がってきました。
本書では、秋田氏との会話文形式により
Twitterでは語られてこなかった
「まわりに左右されないシンプルな考え方」を紹介していきます。
【本書の目次】
プロローグ
はじめに
1章 機嫌をデザインする ―機嫌をよく保つには、まわりに期待をしない
2章 人間関係をデザインする ―誰に対しても素直に接する
3章 仕事をデザインする ―知識よりも人を知ることのほうが大切です
4章 感性をデザインする 自分にとって心地よいものを選ぶ
エピローグ
おわりに