スポーツこそデザイン思考を高めてくれる
――ロジカル思考のビジネスマンがデザイン思考を身に付けるとしたら、どういった習慣を持つべきでしょうか。
スポーツなどで何かを達成する人は、基本的にデザイン思考力が高いと思います。例えばボディビル選手権の場合、優勝者の体を見て「これぐらいの体になってなきゃいけない」という理想の状態をイメージできます。
そして自分の状態を見たときに、どれぐらい筋肉を付けなきゃいけないか、どの部位が弱いからやらなきゃいけないのかっていうのを逆算で考える。するとトレーニングプログラムや食事の計画、体重を何キロ増やせば良いかという、具体的にやるべきことが見えてくる。
これは、別にスポーツだけじゃなくて、ビジネスでも同じだと思うんですよね。将来どのようにユーザーの体験は変わっていくのか、理想の人々の生活は何なのかってことを考えたときに、じゃあ今、自分たちのリソースで、できることは何なんだろうと考える。まずこういう順番でタイムスパンで計画を実現しようと逆算思考するのは、多分スポーツにしても、経営にしても、同じだと思います。
僕の場合は、去年フィジークというボディビル大会に出たんですよね。昔は学生ボディビル選手権大会、全日本3位に入ったんですけど、社会人になってからはやめてました。それでも週1~2健康を維持するくらいはやってましたけど、目的がないトレーニングって、作業でめちゃめちゃつらいんです。何のためにやってるか分からない。
でも大会に出始めて、来年は絶対勝つぞという目標や、理想の体の状態がイメージできたら、一つ一つのトレーニングも本当はつらくて痛いはずなんですけど、進歩して向かってるってことが、精神的充実感みたいなものを生んで楽しいんですよね。
仕事も一緒だと思います。何となく会社に行って、デスクに座って仕事をすべきものだと思ってると、多分楽しくないと思うんです。でも目標があって、「数年後に僕はこういう人になってて、こんな状態になりたいんだ。だからそのために、今の状況でこれを頑張るんだ」って思ったら、仕事自体がすごく意味を成して充実感あるものに変わっていくと思うんですよ。