【ブリュッセル】米バイデン政権はこの1年、日本や欧州連合(EU)のほか、インドやペルーなど20カ国以上との間で、国境を越えた経済連携に関する協議を開始した。これらの協議では「自由貿易」や「関税」といった用語はほとんど取り上げられない。  貿易協定の新しい世界へようこそ。関税の大幅な引き下げはもはや議題とはならない。協議の対象は、デジタル著作権や大気の質、技術や製品の基準といったその他の多くの問題だ。しかも本格的な条約ではなく、政府レベルの合意で取り決められることが多い。  経済や政治における潮流の変化によって、自由貿易協定(FTA)の質が変わってきた。