中国のペット支出額
動物病院市場は急拡大

 我々はペットに何を求めるのだろうか。生活の彩り、様々なプレッシャーからの解放、孤独感の解消といったところだろうか。またこれらと同時に、ペットへの返礼として、ペットの健康や美を求める。高品質・高機能性のペット食品、ペット用アクセサリー、ペット向けの美容や医療などだ。

 中国でのペットに対する月間支出額は、犬向けが1万0,830円、猫向けが8,330円である。日本では、犬向けが1万3,843円、猫向けが8,460円であり、日中の差はほぼなくなった。

 また中国で飼育されている犬猫の平均年齢は、日本と比べると若い。日本における平均年齢は犬が7.5歳、猫が6.7歳であるのに対し、中国では犬が2.7歳、猫が2.2歳だ。平均年齢に差が生じている背景には、中国でのペット市場の急拡大や、コロナ禍でのペット飼育増がある。中国では今後10年で高齢ペットが増加することが予想される。

 中国では2022年時点で1万9,930カ所の動物病院がある。このうち73%が5年以内に設立されており、21%が5医院以上のチェーン化された病院である。動物の医療市場は2022年時点で675億元(1.35兆円)と大規模産業に成長している。

 ただ一方で、中国における動物の平均医療消費額は年1,500~1,600元(3万-3万2,000円)と推測され、支出額に占める割合は低くない。獣医師不足から、自由診療である動物医療費が上がれば消費者の不満がさらに高まる可能性もある。

 中国のペット医療市場で最大規模を誇るのが、NASDAQ上場申請をしている新瑞鳳(New RuiPeng)集団である。同集団は、現在1,600強の医院を保有している。O2Oによる物販やオンライン診療により、動物医療のサプライチェーンを構成している。

 テンセント、ベーリンガーインゲルハイム、ネスレらは、同社に対しすでに投資を実行している。同社の時価総額は2023年1月時点で310億元(6,200億円)だ。ただし、欠損の継続や、獣医資格者の不足という指摘もあり、必ずしも順風ではない部分もある。