フィードバックとポジティブフィードバックは、似ているようで、実は大きく違います。

 それぞれ、ここで整理しておきましょう。

フィードバック → 人や組織に対する反応・意見・評価のこと

 日常業務への意見や提案、報連相(報告・連絡・相談)への反応や返事、結果情報の伝達や行動の反省、結果を導くための計画立案や、お客様からの声もフィードバックで人事面でのコメントなどを伝えること。

 一般的に、うまくいかなかったこと、改善すべき点にフォーカスしてフィードバックするため、「フィードバック=批判されること」と認識している人も多く、聞く耳を持たなかったり、構えたりしてしまい、素直にその言葉を受け止めず、効果がさほど高くない。

ポジティブフィードバック → 成長のための、相手への良質なコミュニケーション

 相手の行動、存在や結果を「承認」したことを肯定的な言葉で伝えること。

 相手の可能性を信じ、成長を第一の目的として行います。「肯定的に」「思いやりを持って」コメントするため、ポジティブフィードバックを受けた側が「大切に思われている」と感じ、傷ついたり、凹んだりせず、お互いに前向きに進むことができるようになる。

 ただ褒めるわけではなく、改善点も伝え、成長への道筋を示す。

 フィードバックもポジティブフィードバックも部下の成長のために行われるものですが、フィードバックの場は、上司から一方通行で、部下ができていないこと、苦手なことにフォーカスして指導や指摘が行われます。一方、ポジティブフィードバックの場は、できること、強みにフォーカスして相手の可能性を広げる、思いやりのある良質なコミュニケーションの場となるので、その効果は歴然とした差があります。

 部下のやる気を伸ばすには、ポジティブフィードバックが効果的であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

上司の仕事は
ポジティブフィードバックが9割

 ある会社の営業チームに新しい上司が来ました。それまでの上司は、部下に次のようなことをよく言っていました。

「言われたことだけやればいい」
「これはできて当然だ」
「どうしてこれができないのか」

 一方、新しく来た上司は、部下に次のようなことをよく言いました。

「(仕事を)任せるよ」
「○○をやってくれてありがとう。助かった」
「△△が良かったよ」

 業務内容は変わっていないにもかかわらず、リーダーが交代したことによって、チームのパフォーマンスが大きく変わりました。