マッチングアプリで200人にフラれた年収1000万円の准教授、婚活でビジネス戦略を学ぶ写真はイメージです Photo:PIXTA

『大学准教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。』(クロスメディア・パブリッシング)を上梓した高橋勅徳氏(東京都立大学大学院経営学研究科准教授)。タイトルにもあるようにマッチングアプリからビジネスのすべてが学べてしまったという自身の体験をベースにした内容だ。そんな高橋氏に、意外なものとビジネスの関連性を見いだすメソッドを聞いた。(清談社 沼澤典史)

そっけない会話、未読無視……
研究者が体験した「理不尽な婚活」

 今や多くの人が利用しているマッチングアプリ。その特性をもとにした、さまざまな攻略法が、ちまたにあふれているが、『大学准教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。』(クロスメディア・パブリッシング)の著者の高橋氏は、文字通りマッチングアプリからビジネス教養を見出し、攻略法を導いている。

 高橋氏は前著『婚活戦略:商品化される男女と市場の力学』(中央経済社)にて自身が体験した婚活と、それについての経営学的視座を記したが、今回は婚活体験をベースに、さらに広いビジネス教養も学べる内容となっている。

「2013年、当時私が38歳のときにマッチングアプリの存在を知り、使ってみました。しかし、開始2カ月でもマッチングは2件ほどで、メッセージは2ターンも続きませんでした。そのときは『こりゃ、アカン』と思い、アプリを削除しましたが、2018年に再び、結婚への思いと婚活市場への興味が募り、婚活パーティーや結婚相談所への登録などをして、婚活を再開したんです。そのときの、“理不尽”な体験をもとに書いたのが1冊目の『婚活戦略』です」

 婚活を始めた2018年当時の高橋氏の“スペック”は、44歳で公立大学准教授。年収は約1000万円で結婚歴はなし。長男だが、妹夫婦が親と暮らしているので同居の必要もない。

「年齢と容姿を除けば、結婚詐欺みたいな好印象なプロフィールですよ」と話す高橋氏であったが、2020年までに会った200人近くの女性のうち交際に至ったのは1人だけ。彼女にも3カ月後にフラれてしまったという。

「パパ活女子に20万円くらいのバッグを買わされそうになったり、婚活パーティーなどで会っても会話してもらえなかったり、いろいろな目に遭いました。ドラマを見るのが好きだと女性が言うので、『どんなの見るんですか?』と聞いても『いろいろです』とシャッターが降りる。『いろいろです』というセリフが『あなたには興味ないからもう聞くな』という意味だと理解するまで数カ月かかりました。他にも交換したLINEにメッセージを送っても未読スルーされて、永遠に既読がつかないこともザラでした」