「大好き」があるからこそ、裏返しの「大嫌い」がある
「どういうこと?夢じゃないよね」って思う。
あなたとのデートはドタキャンしておいて、しかもこっそり自分の親友と会っている。信号が青になったと同時に、小走りに横断歩道を渡ったあなたは、エスカレーターをかけのぼり、スタバの店内に入る。2人の後ろまで来ると、会話が聞こえてきた。
「今日、実はアイツに『2人で買い物行ってプレゼント交換しよう』なんて言われたんだけど、『用事あるから』って断ったわ。ほんとめんどうくさい。今ごろ買い物しているんじゃないかな」
「え?かわいそう(笑)。ところで、アイツには私たち2人の関係、どう言っているの?」
「何も言えるわけないじゃん。でもそのうち別れるし」
笑いあっている2人。
さあ、あなたはこのとき、どんな感情を抱くかな?すべてを捧げてもいいと思っていた恋人が、自分の大切な親友と浮気していたんだからね。
「ムカつく!」当然やな。
「悲しい……。裏切られた!」そう、それもあるよな。
「殴りたい!」あるな。「殺意を抱く」なんて子もおったよ。
ちょっと想像しただけでも気づいたと思う。もうすでに複数の感情が湧いているよね。怒り、悲しみ、殺意……。まとめると「大嫌い!」って感情だと思うんだ。
ただ、それって「大好き!」だからだよね。
わかる?あんなにも「大好き」だった恋人に裏切られた、あなたの心は「大嫌い」の感情でいっぱいなわけだ。その激情が「大好き」だったが故だと、渦中にいるときに気づけるだろうか?
こんな風に、人の心はどちらかの感情にハマッている状態では、もう片方の感情を感じることができない。