詳細に見てみると、「スカウト・オファー型の採用」の導入を予定すると回答した企業は、従業員規模「300人未満企業」で20.8%(+5.7ポイント)、「300~999人企業」で27.3%(+4.7ポイント)、「1000人~4999人企業」で34.3%(+5.2ポイント)、「5000人以上企業」で47.3%(+10.5ポイント)となっており、どの従業員規模でも導入予定が増えています。

 当研究所の別の調査では、「スカウト・オファー型の採用」を行う企業の学生へのオファー要件となる経験・スキルは「専攻分野」が50.4%と最も高く、「スカウト・オファー型の採用」を行う理由としては「1人でも多くの人材を確保するため」と回答する企業が60.7%と最も高い結果となっています。

学生の多様化する価値観に対応
「ジョブ型採用」導入の背景

 次に、「職務限定型採用(ジョブ型採用)」についてお話します。

 日本の新卒採用は新卒一括採用という手法が主流で、これは世界でも非常に特徴的な仕組みとなっています。新卒学生は一律のタイミングで入社し、研修が行われる。入社後は、ジョブローテーションを通じて、様々な部署での経験を積み、自身の強みを磨き込みながら、適材適所で組織貢献していくという仕組みです。学生にとっては、入社時に明確なポストが決められておらず、自身が働くことになる具体的な職務や勤務地は、入社するまでわからないという状況がほとんどだったのです。

 しかし、最近では、世の中のグローバル化も進む中で、欧米で一般的なジョブ型雇用の考え方を取り入れていこうとする企業が、日本でも増えつつあります。ジョブ型雇用は、ポストが決められており、その職務を全うする能力があると認められれば採用され、そのポストに応じた給与が支払われます。

 雇用契約を結ぶ際には、「このようなポストで、このような能力が必要だから、このような条件で、あなたに来てほしい」といったことが企業から提示されます。ポストに応じた、職務内容や職務の範囲、必要な能力が合意されてはじめて雇用契約が結ばれるため、働き手は自身が入社後に就くことになる職務や勤務地などについては、入社前から明確にすることができるのです。