では、なぜ初任配属確約採用が増えているのか。先に見たように、大学生の志向として、「特定の地域で働く」を思考する割合が67.4%、「特定領域の仕事を長期間、継続的に担当する」を思考する割合が56.6%と、それぞれ過半数存在しています。要は、初任配属時の勤務地や職務を入社前から確約してほしいと考える学生が増えているのです。

 初任配属を確約する第二志望企業と確約しない第一志望企業があった場合に、初任配属を確約しない第一志望の企業を辞退し、初任配属を確約してくれる第二志望企業に就職するという学生も出てきているという実態があります。職務限定型採用ではなく、コース別採用や部門別採用など、一定の範囲で職務や勤務場所を限定した採用方法を選択している企業であっても、初任配属が確約されていないと辞退されてしまう可能性があるのです。

優秀な人材獲得のため
画一的な採用形式の見直しが必要に

 この「職務限定型採用(ジョブ型採用)」は、25卒では14.2%の企業が導入・導入検討予定で、従業員数「5,000人以上企業」の導入・導入検討では28.4%にものぼります。企業側も、今までのような画一的な採用形式から抜け出し、個人の価値観に応じた選択肢を増やすという動きが顕著になってくるのではと見ています。

 採用の入り口を広げ、多様な選択肢を用意していくという動きは、労働力不足がほぼ確約された未来にある日本においては、優秀な人材を獲得する上で、必要不可欠な取り組みになりつつあります。

 学生の皆さんは、以上のような背景や現在の状況を踏まえて、希望する企業がどのような採用方法を行っているのか、また、自社の従業員に対してどんな人事制度を実施し、どこまで多様な働き方の選択肢を用意してくれようとしているのかに着目し、自分らしく働けそうな企業であるかどうかを見極める材料にしていただければと思います。

(リクルート 就職みらい研究所 所長 栗田貴祥、まとめ/ライター 奥田由意)