ジョブ型雇用の考え方を採り入れた
職務限定型採用とは?

 このジョブ型雇用の考え方の一部を新卒採用の採用手法でも取り入れて、入社する前に職務や勤務地などの諸条件を明示した上で、採用選考を行っていく手法が「職務限定型採用(ジョブ型採用)」と言われるものになります。

 また、当研究所が2023年3月卒業予定の大学4年生を対象に行った『働きたい組織に関する調査』では、2つの選択肢のうち、どちらの組織を志向するかを聞いています。

 ワークスタイルに関する志向から3つご紹介すると、仕事と私生活のバランスについては、「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる」を志向する学生が86.4%、「仕事と私生活は区別なく、一体として働ける」を志向する学生が13.6%となっています。

 また、キャリアに関しては、「様々な仕事を、短期間で次々に経験する」を43.4%の学生が志向、「特定領域の仕事を長期間、継続的に担当する」を56.6%の学生が志向しています。勤務地に関しては、「特定の地域で働く」が67.4%、「全国や世界など、幅広い地域で働く」が、32.6%となっています。

 これらの結果から、仕事と私生活のバランスを重視する学生が増える中で、自身の志向にあった特定領域や特定の地域において、しっかりとキャリアを積み上げていきたいと考える学生が一定数、存在することが見てとれます。

 これまでは、採用において企業側の交渉力が高く、職務や勤務地の希望を叶えてほしい学生の声に耳を傾けようする企業は、ほとんどなかったように思われます。メンバーシップ型を前提に、配置先・配属先は入社後に決定し、ジョブローテーションを通じて個人のキャリア開発を行っていくというやり方が一般的でありました。