「いずれ所有に耐え切れなくなる」という見方も

 1月末に冒頭の“屋那覇島購入劇”が中国で報じられたとき、中国人の読者コメントの中には「うらやましい」というものもあった。「憧れの海」と「無人島という不動産」、この二つを同時に満たす“買い物”だったからなのだろう。

 それに反して「たとえ手に入れたとしても、いずれ所有に耐えられなくなるのでは」という冷ややかな視線もあった。

 実は中国にも1万1000を超える離島がある。

 2003年、中国政府は個人や団体が最長50年間という期間の中で無人島の開発・利用ができることを認め、また2010年には無人島の使用権登録を適正化するための条例を制定し、土地使用権の公開入札制度を導入した。

 2011年、浙江省寧波市の民営企業が市内の無人島の使用権を2000万元(当時のレートで約2.4億円)で落札するなど、沿海部ではいくつかの進出事例が見られた。しかし、リゾート開発には電力供給や上下水道をはじめとする生活インフラの整備とそのための多額の追加投資が必要とされ、乗り出した企業の中には、資金ショートにより中断を余儀なくされたところもあったのだ。

 生活インフラの整備以外にも、桟橋や防波堤の建設費用や自然災害による施設の維持費・修繕費もかかる。それなのに、離島リゾートの観光シーズンは限定的で、安定的な収益は生みにくい。こうした事例を知る中国人の間では、「日本で離島を購入してもいずれ所有に耐え切れなくなる」という見方が強い。

 中国ビジネスに詳しいある日本人経営者は「中国人がやりたいのは瞬間的な金もうけです」とその特徴を捉えるが、その移り気な性格と撤退後に残された離島は、新たな問題をもたらすことになるかもしれない。