[激変]生保・損保・代理店 保険大国の限界#5Photo:PIXTA

損害保険大手4社のうち損害保険ジャパンと三井住友海上火災保険は2022年度、本業の保険引受利益が赤字に転落した。そうした惨状を受け、社内ではさらに人件費の圧縮に迫られるのではないかとのうわさが広がっている。特集『[激変]生保・損保・代理店 保険大国の限界』(全22回)の#5では、大手損保が直面する厳しい現実にスポットを当てた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

大手4社のうち2社が
本業赤字に陥った理由

 新型コロナウイルス感染症がまん延していた3年間、損害保険業界はわが世の春を謳歌していた。国内の事業者向けの損保商品は、コロナ禍が原因となって発生した損失は補償の対象外。加えて、人々が外出を自粛したことで自動車事故の件数が激減し、保険金の支払い額が減って収支が一気に改善したのだ。

 業績悪化に苦しむ企業が多い中、損保の2021年度決算は、最大手の東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に抱えるMS&ADインシュアランスグループホールディングスの大手3グループは過去最高益を更新。もうけ過ぎ批判の声が出るほどだった。

 それから1年。前年度実績から一転して、損保各社の業績は厳しい状況に陥った。22年度決算は、損害保険ジャパンと三井住友海上の保険引受利益(本業である損保事業の収支)がそれぞれ198億円、159億円の赤字に転落したのだ。あいおいニッセイ同和は辛うじて黒字で着地したが、その額はわずか6億円だ。

 昨年6月のひょう災や9月の台風、米国のハリケーン「イアン」など自然災害が頻発し、保険金支払いが増加したためだ。今年5月、新型コロナの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類感染症」へと移行し、にぎわいを取り戻した街の様子とは対象的だ。

 唯一、東京海上日動火災保険だけが前年並みの1165億円の黒字を確保したが、損保業界が置かれた厳しい状況に、同社であっても緊張感が高まっている。

 次ページでは、損保各社の厳しい事業環境を深掘りするとともに、東京海上日動で広がる人件費圧縮に対する不安の声を取り上げていこう。