損保ジャパンPhoto by Akio Fujita

大手損害保険4社のうち、東京海上日動火災保険と損害保険ジャパンは、自動車保険や火災保険などの商品面でのシェア争いだけではなく人事面、とりわけ若手登用の面でバトルを繰り広げている。そこで2023年度の役員新体制について両社を比較。さらに、損保ジャパンで誕生した40代役員の中から4人をピックアップし、出世レースの行方を占った。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

損保ジャパンvs東京海上「若返り競争」と
40代役員4人の出世競争の行方は?

 損害保険ジャパンの白川儀一社長(52)は2022年4月、大手金融機関の中で最年少の51歳、先輩役員37人を飛び越えて抜てきされたことで、その手腕や発言に、金融業界全体から大きな注目が集まった。

 そんな白川体制も23年4月に丸1年を迎える。23年度の新体制は、白川体制になって初めての役員人事だ。白川社長は事あるごとに、「年上の先輩役員がいてもやりにくいことはないし、むしろありがたい存在」と話しているが、どれだけ年下の役員が増えるかに、損保業界の関心は移っていた。

 中でも業界王者の東京海上日動は、損保ジャパンの役員人事から目が離せなかったに違いない。というのも、ここ数年の東京海上は、組織全体の若返りを急ピッチで進める損保ジャパンを追いかけるような動きをしているからだ。

 損保ジャパンでは20年10月、主任から部長・店長まで七つあった役職を四つに“大くくり化”する人事制度改革を実施。さらに各役職にあった最低在任期間を撤廃するなど、実力で評価する制度に変更し、優秀な若手社員をリーダー職に抜てきできるようにした。

 実際に23年4月、29歳と54歳の新任課長が誕生する予定だ。また執行役員以上でも、22年度は40代の執行役員が4人誕生している。

 一方の東京海上日動も、ライバルに追いつけとばかりに20年前後から人事制度改革に着手。24年4月から課長職以下、AからEの五つの社員等級(「Stage」制)を、S1、S2、S3の三つに“大くくり化”し、若くても能力の高い社員を抜てきしやすい、実力主義を強めた制度に改革することを決めた。また役員においても、22年4月に50歳の執行役員が誕生した。偶然かもしれないが、損保ジャパンの若返りを完全にフォローしているのだ。

 そこで、損保ジャパンの23年度新体制がどれほど若返ったのかを分析し、東京海上の新体制と比較した。2社の執行役員以上の役員平均年齢は何歳差なのか。また損保ジャパンで注目の若手役員4人を取り上げ、出世レースの行方を占う。