大敗した早慶2回戦で
小宮山監督が見いだした「収穫」とは

 月曜の雨天中止を挟んでの3回戦、5月30日の火曜日。

 マウンドには早稲田・加藤孝太郎、慶応・外丸東眞。1回戦と同じく両エースの先発だ。息詰まる投手戦がテンポよく進む。両軍守備陣の緊張感が2階スタンドまで伝わってくるようで、スタンドに腰を下ろすこちらの背筋も伸びた。

 そして4回表、慶応のキャプテン廣瀬隆太に打たれたホームランが決勝点となった。

 試合時間2時間3分。引き締まった試合だった。この日の観客は6000人。早稲田は負けはしたものの、勝負は時の運である。春のラストゲームに足を運んで良かった。

 小宮山は春のシーズンを冷静に振り返った。

 開幕当初は好スタートを切った。東大、立教にそれぞれ連勝し、法政1回戦に3-1で勝って開幕5連勝。攻守ともに「これは、いけるな」と小宮山悟監督もうなずく出来だった。

 だが、続く法政2回戦は雨天中止となり、翌日に順延となった末に6-9の敗戦。法政3回戦は延長12回の末に0-0の引き分け。4回戦は2-4で勝ち点を落とした。
 
 中2日で迎えた明治戦。朝からの雨。一時中断するほど雨脚が強くなったものの試合は続き、4-15と大敗。続く2回戦は3-6。早稲田ナインは明治優勝の歓喜をベンチから仰ぎ見ることになった。

 その流れを引きずったまま、最後の早慶3連戦も、雨天中止を挟んだ末に1勝2敗で終えた。雨に悩まされた春季リーグ戦だった。

「法政戦では雨に翻弄(ほんろう)された……。強い明治に万全の体制で臨みたかった。しかし日程がずれ込むこともリーグ戦の妙味。法政と4試合も戦えたと前向きにとらえたい。明治との1回戦でも雨に祟(たた)られたが、それでも明治は四球を1つしか出していない。早稲田は8つ。彼らにできて、なぜ自分たちにはできなかったのか。それを考えなければいけない」

 明治との1回戦、そして早慶2回戦の大量失点について。当然、指揮官は投手陣の奮起を切望する。

 早慶2回戦では1年生の越井颯一郎が存在感を見せた。2イニング1失点。唸り声を発し、時に帽子を飛ばしながら、腕を振り切っての力投だった。「おりゃあ!」という唸り声は2階席まで聴こえてきた。

 そのことが収穫だと小宮山監督。越井の他にも力のある1年生投手が多数いる。