アイデアが思いつかない」「企画が通らない」「頑張っても成果が出ない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れたアイデア」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。

「才能のない人」が「評価される人」になったエクセルの使い方Photo: Adobe Stock

他人は何を高く評価するのか理解する

「どうして自分の企画は通らないんだろう」

仕事で企画を求められて必死に考えたものの、なかなか採用されない。

自分はおもしろいと思っているのに、周りは全然共感してくれない。

こんなモヤモヤを抱えている人は多いのではないでしょうか?

同僚や後輩は次々と企画を実現しているのに、自分の案が採用されない。苦しいし、焦りますよね。

自分には才能がないのではないか。この仕事に自分は向いていないのではないだろうか。自分を信じてあげられなくなってしまいます。

入社7年目までのわたしがまさにこの状態でした。モチベーションはあるのに成果が出ないと、どう頑張っていいか分からなくなってしまいます。

自分のアイデアが通用しない。

わたしが広告の仕事をはじめて直面した一番大きな壁でした。

案はたくさんつくるものの、自分の企画はクライアントはもちろん、社内でさえも選ばれない。

つまりわたしは「合意」がとれませんでした。

今思うとその理由は明確です。このときわたしは、アイデアと企画の違いなんて、これっぽっちも分かっていなかったのです。

つまり、自分の「おもしろい」は満たしていても、みんなの「おもしろい」が一体何なのか分かっていなかったのです。

周りの人たちがいいと思うポイントを理解していないことが、わたしの企画が通らない一番の要因でした。

他人に評価されるポイントをエクセルにまとめる

他人が何をおもしろいと感じるか分からない。

そこでわたしがやったことは、他人が何をおもしろいと感じているかを徹底的に分析することでした。

広告の受賞作品をエクセルでリスト化して、それを企画のパターンごとにラベル付けしていったのです。

そこからわたしの企画は少しずつ通るようになりました。

知らず知らずのうちに、みんなの「おもしろい」の回路が自分にインストールされていったのです。

アイデアは自分の頭で考えて、企画は他人の頭でチェックする必要があります。

アイデアは自分勝手でいいけれど、企画には思いやりが必要なのです。

つまり、他人の思考回路が抜け落ちていると、自分のアイデアの電球は相手には光って見えません。アイデアの電球のカタチがどれだけユニークで美しかったとしても、アイデアの段階ではまだその電球は光らないのです。

せっかくつくった電球に世の中を照らす光を灯すためには、回路が必要でした。

この作業を通してわたしは、アイデアの電球が光っている企画には一定の法則があると考えるようになりました。

電球が点灯していない企画には、通電していない原因が何かしらあるのです。
いい企画をつくる作業の99%はこの回路をつくる作業です。

いい回路さえあれば、スイッチを入れるだけでアイデアの電球は光り輝きます。

(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)