「アイデアが思いつかない」「企画が通らない」「頑張っても成果が出ない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れたアイデア」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。
他人は何を高く評価するのか理解する
「どうして自分の企画は通らないんだろう」
仕事で企画を求められて必死に考えたものの、なかなか採用されない。
自分はおもしろいと思っているのに、周りは全然共感してくれない。
こんなモヤモヤを抱えている人は多いのではないでしょうか?
同僚や後輩は次々と企画を実現しているのに、自分の案が採用されない。苦しいし、焦りますよね。
自分には才能がないのではないか。この仕事に自分は向いていないのではないだろうか。自分を信じてあげられなくなってしまいます。
入社7年目までのわたしがまさにこの状態でした。モチベーションはあるのに成果が出ないと、どう頑張っていいか分からなくなってしまいます。
自分のアイデアが通用しない。
わたしが広告の仕事をはじめて直面した一番大きな壁でした。
案はたくさんつくるものの、自分の企画はクライアントはもちろん、社内でさえも選ばれない。
つまりわたしは「合意」がとれませんでした。
今思うとその理由は明確です。このときわたしは、アイデアと企画の違いなんて、これっぽっちも分かっていなかったのです。
つまり、自分の「おもしろい」は満たしていても、みんなの「おもしろい」が一体何なのか分かっていなかったのです。
周りの人たちがいいと思うポイントを理解していないことが、わたしの企画が通らない一番の要因でした。
他人に評価されるポイントをエクセルにまとめる
他人が何をおもしろいと感じるか分からない。
そこでわたしがやったことは、他人が何をおもしろいと感じているかを徹底的に分析することでした。
広告の受賞作品をエクセルでリスト化して、それを企画のパターンごとにラベル付けしていったのです。
そこからわたしの企画は少しずつ通るようになりました。
知らず知らずのうちに、みんなの「おもしろい」の回路が自分にインストールされていったのです。
アイデアは自分の頭で考えて、企画は他人の頭でチェックする必要があります。
アイデアは自分勝手でいいけれど、企画には思いやりが必要なのです。
つまり、他人の思考回路が抜け落ちていると、自分のアイデアの電球は相手には光って見えません。アイデアの電球のカタチがどれだけユニークで美しかったとしても、アイデアの段階ではまだその電球は光らないのです。
せっかくつくった電球に世の中を照らす光を灯すためには、回路が必要でした。
この作業を通してわたしは、アイデアの電球が光っている企画には一定の法則があると考えるようになりました。
電球が点灯していない企画には、通電していない原因が何かしらあるのです。
いい企画をつくる作業の99%はこの回路をつくる作業です。
いい回路さえあれば、スイッチを入れるだけでアイデアの電球は光り輝きます。
(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)
中川 諒(なかがわ・りょう)
クリエイティブディレクター/コピーライター
1988年生まれ。幼少期をエジプトとドイツで過ごす。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、2011年に電通に入社するも希望のクリエイティブ局には配属されず、自主制作をはじめる。2017年、「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」のU30プログラム「ヤングライオンズ」の国内予選を150組を超える出場者の中から1位で勝ち抜き、日本代表に選ばれる。2018年、TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞を受賞し、社内の転局試験に合格。営業から念願のクリエイティブ局に異動。同年カンヌライオンズのアジア大会「ヤングスパイクス」本戦で1位を獲得。2019年、Googleにクリエイティブディレクターとして出向し、シンガポールとオーストラリア・シドニーで勤務。帰任後、ユニクロ、コカ・コーラ、サントリーなどの広告を制作。2023年よりアクセンチュア ソングのクリエイティブエージェンシーDroga5に所属。著書に『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』(ダイヤモンド社)『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。「恥研究家」としても活動。
Twitter/Instagram:@ryonotrio
「センス」や「努力」に頼らず
「いつも結果を出す」ための仕組み
◎人を動かす優れたアイデア・企画は、「回路」でラクに生み出せる!
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◎【今すぐ「おもしろい」を生み出す10の回路】+【工夫の「4K思考マップ」】付き!
「アイデアが思いつかない」
「企画が通らない」
「頑張っても成果が出ない」
このように悩んだことはないでしょうか。
「アイデアはいいけど、企画になっていないね」
そう言われた経験がある人は、本書を読んで「発想の回路」を身につけることで、他人も納得する企画を生み出すことができるようになります。
「コンテンツ企画」や「商品企画」「事業企画」「広告企画」という仕事があるように「企画」は多くの会社で必要とされる職能です。
にもかかわらず、学校では誰も「企画」を教わっていません。
社会人になって企画部署に配属された途端、プロとして企画をする必要がある。
実は企画という職能はとても特殊な環境におかれています。
わたしは新卒で広告代理店に入社し、クリエイティブを希望していました。
しかし入社してから7年もの間、その夢は叶いませんでした。
入社直後に受けた「クリエイティブテスト」で落ちてしまったからです。
いくらアイデア本を読んでも、具体的にどうしたらアイデアが出せるようになるのかは分かりませんでした。
それからは、どうすれば人を動かす企画ができるようになるのかを、ただひたすらに考えて試し続けました。気づけば7年もの月日が経っていました。
その中で気づいたのは「アイデア」や「企画」で結果を出すためには、個人のセンスに頼ってやみくもに努力するのではなく、人に認められた優れたアイデアから自分の脳内に再現性のある「回路」をつくる必要があるということです。
才能なしと見なされていたわたしが、自分なりの「回路」をつくった翌年、コピーライターの登竜門と呼ばれるTCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞を受賞し、アジア最大級の国際広告賞の若手部門で世界一位になったのです。
この本では、わたしが「発想力」を発揮するために、何をどうやってインプットし、アイデアを出して、企画を立てているのかを順序立てて説明しています。また仕事で出会った多くのクリエイターたちの思考や技術も参考に、誰でも再現可能な思考術として体系的にまとめました。
広告業界だけでなくどのような業種であっても、商品や事業開発などアイデアや企画が必要な人が実践できるように整理しています。
この本を読んだ人が、無駄な努力をしなくて済むように。
そして自分には才能がないと、自分の好きなことを諦めなくて済むように。
アイデアのつくり方、企画の立て方だけでなく、人生においてもどのように工夫すればいいのか、なるべく具体例を交えながら書いています。
【本書の内容】
1章 なぜ「アイデアはいいけど、企画になっていない」のか?
● 「アイデアが出ない」と言う人が勘違いしていること
●アイデアは閃きではなく工夫からはじまる
●企画をつくる5つのプロセス
●アイデアと企画の違い
● 「いい企画」の条件
●アイデアを企画に変える「発想の回路」
2章 アイデアは工夫からはじまる―工夫の4K―
●どこからアイデアを考えればいいのか分からない
●4つのアイデアがすぐに生まれる「工夫の4K」
●工夫の「4K思考マップ」でアイデアを出す
●アイデアが出ないときに試す5つのスイッチ
●ユニークなアイデアをつくる2つの鍵
3章 アイデアを「企画」にする―発想の回路―
●他人が「おもしろい」と感じて、アイデアは企画になる
● 「発想の回路」が生まれたきっかけ
● 「発想の回路」がある人とない人の違い
●今すぐ「おもしろい」をつくれる10の回路
4章 あなたの仕事で使えるオリジナルの「回路」をつくる
●評価される「おもしろい」の基準を知る
●自分の仕事に直結する、オリジナルの発想の回路をつくる
●つくった回路を試してみる
●回路は通電不順を見つけるのに役出つ
5章 発想体質のつくり方
●センスは磨くもの
●①自分の鮮度を意識する
●②アイデアは表現しないと妄想で終わる
●③自分を妨げる「恥」と向き合う
●④ 「デモ星人」「イイネ星人」「ナンデ星人」との付き合い方
●⑤ 「何かやろうよ」は受け身だということを理解する
●⑥うまくいっていないことこそ「アイデアの宝庫」
●⑦ひとつのことに集中してはいけない
●⑧飽きは創造の入口
●⑨自分の興味のエンジンを刺激する
●⑩「行動の企画化」で習慣化させる
●⑪「タスク」ではなく「プロジェクト」と捉える
6章 工夫は自分の未来を変えるチカラ
●小さな工夫が「予想もできない未来」にあなたを連れていく
●工夫があなたのキャリアをつくる
●努力は有限、工夫は無限
●どんな小さな工夫も立派なアイデアだ
●発想力は周りから評価されにくい
● 「ビッグアイデア」という功罪
●工夫はあなただけのタイムマシーンだ