また、日本には外務省が実施しているJPO派遣制度もあり、邦人職員の場合、この制度を通じて国際機関勤務の経験を数年間積み、その後、正規採用されることが多いように思われます。

 更には、政府や関係機関からの出向者もいます。数年後に本国へ戻る方もいれば、そのまま職員に転身される方もいらっしゃいますよ。

 あとは、最後になりましたが、学生時代にインターンとして勤務した後にポストをオファーされたり、空席に応募、または選抜試験を受ける方法です。

石黒 国際機関でインターンをするには、やっぱりアメリカにいた方が有利ですか?

荒井 国際機関は、当然ながらグローバルに活動を展開しているので、インターンの機会も本部のみならず、地域事務所や各国事務所など至る所にあると考えて良いと思います。自分が興味を持つ機関の近くにいるほうが、情報は入りやすいでしょう。私も大学院生時代のインターンに関しては、やはりワシントンD.C.にいたのは、有利だったと思います。

 米州開発銀行でのリサーチアシスタントの仕事は、友人が「こんなのあるよ」と大学院の地下掲示板に貼ってあった紙を持ってきてくれたことがきっかけだったのです。求められるスキルに、英語、スペイン語、ポルトガル語、日本語と書いてあって、「ユキは中南米に興味あるでしょう?米州開発銀行の仕事ができたらおもしろいんじゃない?」と言われたのです。きっと日本の大学にはこんな掲示は出なかったと思いますし、日本では勉強しながら仕事をするという両立は難しいですよね。

石黒「日本にいれば、国際機関で働くことへのハードルは高くなりますよね」
Photo by T.U.

石黒 日本にいれば、ハードルは高くなりますよね。ワシントンD.C.には、国際機関が求める優秀な人材が集まってくるので、そこで募集をかける、という鶏と卵のような関係があるのですか?同様に、英語の他に、ポルトガル語やスペイン語ができて、という人が日本にいても、その事実を知らしめるのは難しいのでしょうか?例えば、荒井さんはずっと中南米にご興味がおありですけど、お仕事に国籍は関係ない、と言い切れますか?

あらゆる人にチャンスがあるのになぜ?
日本人職員が少ない理由

荒井 あくまでも中立的な立場で仕事をしていますので、職員の国籍は関係ないです。強いて言えば、国連人、でしょうか。私が国際機関で仕事をはじめて、今も続けている理由は、この魅力も関係しています。

 また、普通、日本人として中南米の仕事に関わる枠組みや機会は限られています。ワシントンD.C.には、いろんな大学やNGOがいろいろありますけれど、日本人が採用されるにはハードルが高く、そもそもタイミング良く希望職種のポストがみつからなかった覚えがあります。しかし、国際機関では国籍は関係ありませんから、チャンスがありました。

 最近は、民間のビジネス経験を持った方も国連に入り始めていますよ。よく民間で長年仕事をなさった方が、国連に転職するのは難しいとおっしゃいますが、そんなことはありません。その職種は、IT、林業、農業、貿易、金融部門、産業育成などなど様々です。法務、財務・会計、人事などの職務分野も求められます。

 国連は日本でいう霞が関みたいなもので、雇用・労働分野の専門機関であるILO、健康・保健分野を扱うWHO、子どもの救援活動はユニセフ、教育はユネスコ…といかなる職種、いかなるバックグラウンドを持つ方も国際機関で働く機会があると言っていいと思います。例えば通訳もそうです。たくさんの国際会議があり、我々は6ヵ国語くらい同時に通訳されることで、世界中の方々と議論が可能になるわけですよね。