千葉銀行Photo by Satoru Okada

全国地方銀行協会の会長行である千葉銀行と武蔵野銀行、千葉銀子会社のちばぎん証券の3社に対し、証券取引等監視委員会は仕組み債の販売で問題があったとして、金融庁に処分を勧告した。投資経験がない顧客に仕組み債を買わせたり、銀行員が顧客を直接勧誘するなどルール違反が横行していたが、銀行経営陣は実態を把握していないなど目を覆うほどのずさんさだった。問題はどこまで広がるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

金融庁が言及してきた「地銀系証券」
仕組み債問題の“主犯”は地銀協会長行

 昨年来、金融界で問題視されてきた「仕組み債」。その“主犯”は、日本を代表する地銀の雄だった。

 ちばぎん証券と親会社である千葉銀行、そして同行と提携している埼玉県の武蔵野銀行に対し、証券取引等監視委員会は6月9日、仕組み債を不適切に販売したことが金融商品取引法で定めた禁止行為に当たるとして、処分するよう金融庁に勧告した。

 ちばぎん証券は千葉銀の100%子会社であり、千葉銀の米本努頭取は現在、全国地方銀行協会会長の任にある。

 仕組み債は債券でありながら、特定の銘柄の株価や指数などに連動して元本を大幅に下回って償還される恐れのあるハイリスクな商品で、金融庁はこれまで名指しこそしなかったものの、地銀傘下のいわゆる「地銀系証券」の販売体制や手法を問題視してきた。

 ハイリスクであるから販売対象は当然、投資経験と資産が豊富で金融リテラシーとリスク選好度が高い、海千山千のベテラン投資家に限られるべきなのだが、ちばぎん証券は、高齢者を中心に投資経験が全くなかったり、高いリスクを求めていない顧客にも販売していた。

 しかも、銀行員側に事実上の販売目標を設け、子会社のちばぎん証券側が従わざるを得ない構造があったと指摘。日本証券業協会が3回、ちばぎん証券に注意喚起を行ったにもかかわらず、千葉銀などの改善への取り組みは不十分だったという。

 これまで地銀協会長を輩出し、規模と存在感で横浜銀行と張り合う地銀の雄・千葉銀が主導した仕組み債の販売がどれほどずさんだったのか、監視委の説明を基に見ていこう。