五月病、六月病にも効く「心の予防注射」とは?うつで地獄を見た元自衛官2人が話す、本当に役に立つメンタルスキル【後編】※写真はイメージです。本文とは関係ありません

 4月から新しい環境で生活をスタートさせた人も多いでしょう。新生活に慣れた頃にやってくるのが、五月病。最近では六月病という言葉も使われます。

 元陸上自衛隊のメンタル教官で、定年退官後はNPO法人メンタルレスキュー協会理事長を務め、数多くのカウンセリング経験を持ち、新書『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』の著者の下園壮太さん。陸上自衛隊の幹部自衛官だったときに、上司のパワハラでうつとなり地獄を見て、その後、退官して現在は航空業界で働くわびさん。その際の経験を記した著書『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』は、各方面で反響を呼びました。

 自衛官の先輩、後輩でもある二人が、本当に役に立つメンタルスキル、バーンアウトしてしまう前に知っておいて欲しい「心の予防注射」について、語りあいました。

※前編「屈強な自衛官でも、心は壊れる。うつで地獄を見た元自衛官2人が話す、本当に役に立つメンタルスキル」よりつづく

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「我の健在」──まずは自分が生き残ることが大事

下園:自衛隊の幹部候補生は、戦場で自分たちが生き残ることが大事であることを基礎の基礎として必ず学びます。わびさんの著書でも「我の健在」という表現を紹介してますよね。

わび:おっしゃるとおりです。

下園:戦争というと、敵を倒すことだけが目標であるとイメージする人も多いでしょう。しかし、実際は違います。敵を倒すことだけでなく、その戦いで自分たちが消耗しつくさないようにすることも重視するのです。仮に戦闘で負けても、自分たちが生き残っているかぎり、リベンジのチャンスがあるわけです。

 わびさんもそれを習ったはずだと思うのですが、「意識高い系」の志がそれを忘れさせてしまったのでしょうね。

わび:仕事をとにかく全力でと思っていて、その後のこと考慮せずに行動をしていました。だからこそ、精神を激しく消耗してしまったのだと思います。

 その後、カウンセリングやメンタルヘルス関連の書籍を読むことなどからも「我の健在」の大切さを再確認し、今でも考え方の礎においています。