みずほ証券・浜本吉郎社長インタビューPhoto by Yoshihisa Wada

みずほ証券は昨年11月、楽天証券に約800億円を出資。一方で、楽天グループとはライバル関係にあるソフトバンクグループのPayPay証券にも出資している。“二兎(にと)を追う”戦略に勝ち筋はあるのか。また、5月に表明した米投資銀行買収の狙いは何か。同社の浜本吉郎社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

海外投資家は日本株にまだ強気
兆円規模のファンド設立の動きも

――日経平均株価が3万円を上回り、バブル後最高値圏が続いています。

 先週(6月12日の週)、米国と欧州を回ってヘッジファンドや長期の投資家と意見交換をしましたが、彼らは日本株に対して非常に強気でポジティブな見方をしています。

 要因はいくつかありますが、バリュエーション(価値評価)が割安だということだけでなく、日本でも継続的なインフレが起きるだろうと彼らが考えているということです。

 労働力不足は日本でも深刻で、政府は当然、賃金をしっかりと上げていかなくてはいけない。資源価格も高騰しており、価格転嫁が川上から川下に進んでいく可能性があります。

 また、日本銀行は海外主要国の中央銀行と異なり、現時点ではインフレを食い止めるのではなく、むしろサポートしている。このように、株価のバリュエーションを支えていく余地が引き続き存在すると彼らは見ているということです。

 加えて地政学的な要素から、中国から日本にアロケーションを寄せていくという考えもありますし、日本は不動産や為替も割安で、設備投資が国内回帰する期待もある。海外のプライベートキャピタルの人と話すと、日本で新たに兆円単位のファンドを作ろうという動きもあるとのことです。

 また、米国は政策金利が5%台で、レバレッジを効かせて投資をしていくには効率が良くありません。米国の株価は今後、大きなクラッシュは考えにくいものの頭打ちと見られる半面、日本はまだキャッチアップしている段階だというのが彼らの認識です。